研究課題/領域番号 |
14J04814
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮崎 寛之 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
キーワード | 協調中継通信 / アナログネットワーク符号化 / 周波数領域等化 / 時空間ブロック符号化 / 高速移動環境下 |
研究実績の概要 |
私は,移動無線通信における超高速通信エリアの拡大の実現を目指し,シングルキャリア(SC)アナログネットワーク符号化(ANC)双方向中継通信に関する検討を行った.私はこれまでにSC-ANC双方向中継通信のための送受信協調周波数領域等化(FDE)を提案し,提案技術を用いることで無線セル全域において優れたスループット特性を達成できることを示してきた.しかしながら,これまでの検討では受信機において標本化(サンプリング)のタイミングずれ(タイミングオフセット)が存在しないものと仮定していた.そこでタイミングオフセットが存在する環境下においても優れた伝送品質を達成する手段として,私はSC-ANC双方向中継通信のためのジョイント送受信協調 FDE&スペクトル合成を提案し,計算機シミュレーションにより,中継局,端末および基地局受信機においてタイミングオフセットが発生する環境下においても,提案手法は上下リンクともにタイミングオフセットが発生しない場合と同等な平均ビット誤り率(BER)特性を達成できることを明らかにした. また伝搬チャネルが時間的に激しく変動するような高速移動環境下においても優れた伝送特性を実現する信号検出技術に関する研究も行った.送信機もしくは受信機の構成を簡易に保ったまま優れた伝送品質を達成する手段として時空間ブロック符号化(STBC)ダイバーシチがある.しかしながら複数のブロックで構成される1STBC符号語内においてチャネルが時間的に変動するような高速移動環境下では,符号語の直交性が崩れることで干渉が発生し,特性が大きく劣化してしまう.そこで,この問題を克服する手段として,私はSTBCダイバーシチのためのマルチブロックFDEを提案し,計算機シミュレーションにより,提案手法は従来手法よりも常に優れた平均BER特性を達成できることを明らかにした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,交付申請書に記載したように,SC-ANC双方向中継通信のためのタイミングオフセット救済技術としてジョイント送受信協調FDE&スペクトル合成を提案し,計算機シミュレーションによりその有効性を示した.また高速移動環境下における通信品質の改善を目指し,STBCダイバーシチにおけるチャネル時間変動の補正技術としてマルチブロックFDEを提案し,計算機シミュレーションにより,高速移動環境下においてマルチブロックFDEは従来FDEより常に優れた平均BER特性を達成できることを明らかにした.したがって,研究は当初の計画通りに順調に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は,さらなる高速通信エリアの拡大を目指し,私がこれまでに検討してきた送受信協調FDEを用いるSC-ANC双方向中継通信を複数中継局を用いるマルチリンクSC-ANC双方向協調中継通信に拡張する検討を行う.マルチリンクSC-ANC双方向中継通信を対象とした,中継局間でチャネル情報の共有が不要な送受信協調FDE&スペクトル合成を提案し,計算機シミュレーションにより提案法の適用効果を明らかにする.また,高速移動環境下における伝送品質のさらなる改善を目指し,私がこれまでに検討したSTBCダイバーシチのためのマルチブロックFDEを空間・周波数ブロック符号化(SFBC)ダイバーシチに拡張する検討を行う.高速移動環境下におけるSFBCダイバーシチに適した送信/受信FDEを提案し,マルチブロックFDEを用いるSTBCダイバーシチより優れた平均BER特性を達成できることを明らかにする.
|