研究課題/領域番号 |
14J04837
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
安田 圭子 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 腎尿細管間質障害 / Th17 / 制御性T細胞 |
研究実績の概要 |
1)腎尿細管間質の障害に対するIL-17およびTh17細胞の関与の検討 シスプラチン腎症の原因については、innate, adaptive双方の免疫応答の関与が示唆されているが、特にT細胞の関与については、T細胞欠損マウスにおいてシスプラチンによる腎障害が軽減されたという報告以上の詳細は明らかでない。そこで、T細胞の中でもIL-17およびTh17の関与を明らかにするため、IL-17ノックアウトマウス、CD4+細胞特異的なRorcノックアウトマウスを用いることとし、それぞれのマウスの準備を終え、現在、評価に適正なシスプラチン投与量の調整と病理組織の検討をすすめている。 2)腎尿細管間質の障害に対する制御性T細胞の役割の検討 1)の評価が済み次第、順次検討を行う予定である。 3)RORγtおよびFoxp3のdouble positiveの細胞の分化経路の検討 RORγt、Foxp3のdouble positiveの細胞が、腸管粘膜固有層でのCD4陽性、RORγt陽性細胞のうち約15~20%をしめ、これまでの報告と同様であることを確認した。In vivoでこのdouble positive細胞の分化経路を検討するためにトリプルレポーターマウスを作成した。パイエル板においては、Rorc陽性細胞のうち、36%がFoxp3陽性のdouble positive細胞(Foxp3陽性のうち4.19%がRorc陽性のdouble positive細胞)であった。また、腸管粘膜固有層での結果では、Rorc陽性細胞のうち、16.8%がFoxp3陽性のdouble positive細胞(Foxp3陽性のうち3.6%がRorc陽性のdouble positive細胞)であった。今後、RorcとFoxp3のdouble positive細胞をソートし、分化経路の検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腎障害の評価に適正なシスプラチン投与量の調整と病理組織の検討に時間を要している。研究を遂行するにあたって基礎となる部分の条件検討に時間をかけたためであり、今後、目標通りの研究達成を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
腎障害モデルとして使用しているシスプラチン腎症に関して、犬を用いた実験モデルにおいて尿中のGM-CSFが増加するとの報告がある(McDuffie J.E. et al.: Cytokine, 2010)。GM-CSFに関しては、多発性硬化症の動物実験モデルである、EAEモデルにおいてGM-CSFに対する中和抗体を投与することで症状の増悪を抑え、回復を促進するとの報告があり、その他にも自己免疫性疾患の増悪因子となることが報告されている。現在では、GM-CSFはTh17細胞の炎症惹起作用において重要な役割を果たしているとされ、腎障害モデルにおけるTh17細胞の役割を考えるにあたって、GM-CSFそしてT細胞が活性化される際に重要な役割を果たすco-stimulatory factorについても検討を加える必要があると考えた。そのため、GM-CSFの産生に関して特異的に作用するco-stimulatory factorを同定し、現在その機能の解析についてもあわせて進めている。
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