研究課題/領域番号 |
14J04880
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 晃嗣 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 栄養吸収 / 糖 / 病原糸状菌 / 植物 / 感染 |
研究実績の概要 |
病原体は宿主から栄養を搾取しながら増殖する。吸収する栄養素のなかでも炭素は量的にも質的にも最も重要な栄養元素であり、病原体の多くは植物から糖を主な栄養素を吸収していると考えられる。各々の病原体は様々な生活様式を持ち、それらに適応した多様な栄養摂取メカニズムを備えていると考えられるが、報告例は非常に乏しくそれらの分子機構の全貌をつかむには程遠い状況である。そこで本研究では活物寄生相・殺生相を持つ炭疽病菌を用いて病原性発現と糖吸収の関与を探る。炭疽病菌のなかでもゲノムが解読されており、遺伝子操作が可能なウリ類炭疽病菌を主に用いる。 始めに、ウリ類炭疽病菌のゲノム配列から既知の糖トランスポーターに相同性のある配列を持つ遺伝子を抽出し、糖トランスポーター遺伝子候補とした。さらに、その中からマイクロアレイ結果をもとに植物感染時に発現が上昇する遺伝子のリストを作成した。それらトランスポーター候補遺伝子の遺伝子破壊株を作製し、病原性の確認を行っている。現在既に病原性の低下を示す遺伝子破壊株を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病原性の低下を示す糖トランスポーター遺伝子破壊株が得られたことよりウリ類炭疽病菌の感染時において病原性発現と糖吸収が密接な関係にあることが示された。本結果は今後研究を推進するにあたり、基盤となる重要な知見である。
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今後の研究の推進方策 |
糖トランスポーター遺伝子を破壊したウリ類炭疽病菌は病原性の低下は見られるが、いまだ植物に感染することは可能であり、相同遺伝子による機能重複性が考えられる。そこで多重変異体を作製することで、さらに病原性が低下する遺伝子破壊株の作出を試みる。また、病原性低下の原因となる糖トランスポーターの生化学的解析を進めることでどのような糖をウリ類炭疽病菌は感染時に植物から得ているかを探る。
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