研究課題
【散乱分光および近赤外による牛肉の熟成モニタリング】ベルギーのカトリック・ルーベン大学に客員研究員として滞在し、牛肉の保存中の化学的・物理的変化を近赤外吸収および光散乱によってモニタリングする研究を行った。牛肉は死後硬直後、数週間の熟成を行うことにより肉質が向上することが知られている。本研究では、レーザー散乱分光イメージング、二重積分球、近赤外分光装置の3種類の光学装置を用いて冷蔵庫で保管した2種類の牛肉のモニタリングを行った。同時に牛肉の「硬さ」を計測するためのせん断応力計測、および含水率の計測を行った。2種類の部位(Longissimus Dorsi および Biceps Femoris)の計測を行った。Longissimus Dorsi は計測した3週間の間にせん断応力が1/3程度に減少したのに対し、Biceps Femorisは有意な変化が見られなかった。近赤外分光スペクトルおよびレーザー散乱のデータもせん断応力の変化を反映しており、Longissimus Dorsiに関しては3週間の間に散乱係数が大きく変化した。筋繊維の構造が変化することにより散乱係数が影響を受けることが推察される。また、この結果により、光散乱による牛肉の熟成モニタリングが可能であることが示唆された。近赤外分光器による測定およびレーザー散乱イメージングでは、光の吸収特性(主にサンプルの化学成分を反映)および散乱特性(主に微細構造を反映)が混在したデータが得られる。これに対し、二重積分球では吸収特性と散乱特性が分離して計測できるため、サンプルの変化を明瞭に解釈できる。今後、近赤外分光器の実用性と二重積分球の精度を合わせた測定方法を開発する予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件)
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