研究課題/領域番号 |
14J04940
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
樋口 貴史 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 水素化反応 / 三座配位子 / 二核錯体 / 脱水素カップリング |
研究実績の概要 |
本申請者は、独自に開発したルテニウム-亜鉛複合触媒系を用いて、アミド化合物の水素化反応によるアルコール合成に成功している。この成果を基に、アミド結合より水素化の困難なカーボネート、カーバメート、尿素の水素化反応へと展開する計画であった。しかしながら、同触媒系によるカーボネート、カーバメート、尿素の水素化反応では高い活性を得ることができなかった。そこで、配位子を窒素-リンの二座配位子からリンの三座配位子に変更して水素化反応の検討を行った。三座のリン配位子を二段階で合成し、ルテニウム二核錯体を得た。得られた二核錯体を触媒としてアミドの水素化反応を行ったところ対応するアルコールはわずか 25% 収率であった。この結果からアミド結合より水素化の困難なカーボネート、カーバメート、尿素の水素化に本二核錯体は適していないことが分かった。 アルコールとアミンの脱水素カップリング反応は、縮合剤や酸化剤を必要としない環境調和性に優れたイミンまたはアミドの合成法である。用いる配位子や添加剤、その他の条件によりイミンとアミドを作り分ける手法は魅力的な合成法のひとつであるが、わずか二例が報告されているのみである。前年度に報告した通りルテニウム-亜鉛塩複合触媒系を用いて得られる生成物はアミドではなくイミンであった。本年度はイミン合成の基質適用範囲の検討を引き続き行い、20 種類以上のイミンを得ることに成功した。また、同様の触媒系においてルテニウム上の配位子を変更することで生成物をイミンではなくアミドへと誘導することに成功した。アミド合成における反応条件検討を行った上でイミン合成の場合と同様に基質適用範囲の検討を行い、現時点で 15 種類以上のアミドを得ることに成功している。今後は基質適用範囲の拡大および脱水素カップリング反応の反応機構研究を行った上で学術論文として投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本申請者はルテニウム触媒によるアミドやアミド結合より水素化の困難なカーボネート、カーバメート、尿素の水素化反応に精力的に取り組んだ。独自に開発したルテニウム-亜鉛複合触媒系を用いて高い活性を見出すに至らなかった。そこで、配位子を二座から三座に変更したルテニウム二核錯体を合成し水素化反応の検討を行ったが、高い活性を持つ触媒系ではないことが分かった。そこでこちらの研究を一時中断することとなった。 一方で、過去に報告しているルテニウム-亜鉛塩複合触媒系によるアミドの水素化反応から派生したアルコールとアミンの脱水素カップリング反応において、本年度はイミン合成の基質適用範囲の検討を引き続き行い、20 種類以上のイミンを得ることに成功した。また、同様の触媒系においてルテニウム上の配位子を変更することで生成物をイミンではなくアミドへと誘導することに成功した。アミド合成における反応条件検討を行った上でイミン合成の場合と同様に基質適用範囲の検討を行い、現時点で 15 種類以上のアミドを得ることに成功している。今後は基質適用範囲の拡大および脱水素カップリング反応の反応機構研究を行った上で学術論文として投稿する予定である。以上より前者の研究は進展しなかったが、後者の研究での進展があったので区分を「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
ルテニウム触媒によるアミドやアミド結合より水素化の困難なカーボネート、カーバメート、尿素の水素化反応については、後述のテーマが終結してから取り組む予定である。 ルテニウム-亜鉛塩複合触媒系によるアルコールとアミンの脱水素カップリング反応は、配位子の違いによって生成物をコントロールできることがわかったので、それぞれの基質適用範囲の検討をさらに行う予定である。さらに、なぜそのような選択性が発現するのかを解明するために反応機構解析を行う。また、脱水素イミン合成において反応終了後に適切な求核剤を加えることで三成分カップリング反応が可能であると考えられるので、この検討も行う予定としている。
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