本研究の目的は生体膜と膜タンパク質の相互作用による膜のダイナミクスを説明する事である。SNAREなどの膜タンパク質は、その構造変化によって膜の形状を変化させシナプス小胞を形成することが知られている。本研究ではこの過程をマルチスケールの分子動力学シミュレーションによって明らかにする事を試みた。 本研究ではタンパク質に対し粗視化郷モデルによるシミュレーションを行うが、まず構造変化の網羅的解析を可能とするため、タンパク質に対しマルチカノニカルサンプリング法の導入を行った。これにより既存手法では困難だった大型のタンパク質に対し、フォールディングなどの構造変化を効率的にサンプリングする事が可能となった。 続いて、タンパク質の粗視化スケールに合う膜の粗視化モデルの構築のため、まず膜の全原子シミュレーションを実行し、そこで生じる力を再現する粗視化力場の構築を行った。
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