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2014 年度 実績報告書

アーキア特有の新規核酸・ペントース代謝機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 14J05097
研究機関京都大学

研究代表者

青野 陸  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2016-03-31
キーワードアーキア / ヌクレオシド / ADP-dependent kinase / ribose 1-phosphate / pentose bisphosphate
研究実績の概要

細菌・真核生物はペントースリン酸経路を介してヌクレオシドを分解する。一方、多くのアーキアにはペントースリン酸経路を構成する遺伝子の多くが存在せず、アーキアは従来とは異なる機構でヌクレオシドを分解していると予測された。そこで超好熱性アーキアThermococcus kodakarensisを対象に、アーキア特有のヌクレオシド分解機構の解明を目指して研究を行った。
これまでに本菌において2種の新規酵素cytidine kinase及びADP-dependent ribose-1-phosphate kinaseを同定し、これらとアーキア特有のヌクレオチド分解経路がヌクレオシド分解経路を構築している可能性を見出していた。そこで当該年度では、まず2種の新規酵素について詳細な酵素学的解析を行い、それぞれの酵素の諸性質を明らかにした。
続いて予想されるヌクレオシド分解経路を構成する各遺伝子について遺伝子破壊株を作製し、その細胞抽出液においてヌクレオシドから分解経路の中間産物であるribose 1,5-bisphosphate (R15P) を生成するかを検討した。その結果、野生株においてadenosine, guanosine, uridineといったヌクレオシドについてはR15Pの生成が観察された。さらに遺伝子破壊株を用いた検討の結果、adenosine, guanosine, uridineの分解に関わる遺伝子を同定し、これらのヌクレオシドの分解機構を明らかにした。ペントースリン酸経路ではモノリン酸化合物を介して代謝が進むのに対し、今回発見した経路ではビスリン酸化合物を介して代謝が進むことから、今回発見した経路をペントースビスリン酸経路と名付けた。
また以上の研究を通じて得られた結果を基に、学会発表 (10th International Congress on Extremophiles, Russia, Sep., 2014) および論文発表 (Nat. Chem. Biol., 11, 355-360, 2015) を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

アーキア特有の新規核酸・ペントース代謝機構の解明を目指して研究を推進している。現在までは主にヌクレオシドの分解機構に焦点を当て、その研究を行った。ヌクレオシドは細菌・真核生物においてはペントースリン酸経路を介して分解されるのに対し、多くのアーキアにはペントースリン酸経路が存在せず、ヌクレオシドがどのように分解されるのか不明であった。そこでこれまでに同定したヌクレオシドの分解に関わると予想される2種類のkinaseについて詳細な酵素学的解析を進めるとともに、各種遺伝子破壊株を作製し、その細胞抽出液におけるヌクレオシドの変換を検討した。その結果、adenosine, guanosine, uridineについてはアーキアにおける分解機構を明らかにすることが出来た。また、以上の内容について学会発表および論文発表も行うことができた。したがって現在のところ研究は当初の計画以上に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

これまでにアーキアにおけるadenosine, guanosine, uridine分解機構を明らかにすることができた。一方cytidineについてはその詳細な分解機構は未だ不明である。これまでにT. kodakarensisにおいてcytidineを基質とするcytidine kinaseを同定し、この酵素がcytidineの代謝に関与すると予想していた。しかしこれまでにT. kodakarensisの細胞抽出液においてその活性は観察されなかった。そこでT. kodakarensisにおいてcytidine kinaseが機能する条件を探索し、cytidine kinaseを介したcytidineの分解機構を検討する。またcytidine添加条件においてtranscriptome解析を通じてcytidine添加により誘導される遺伝子を探索し、その解析を通じてcytidine分解機構の解明を目指す。
さらにadenosine, guanosine, uridine分解機構を明らかにしたので、これらのヌクレオシドがどのような機構で生成するのかにも興味を持ち、研究を進める。またヌクレオシドのみならず、それに関連した化合物の代謝に未解明な部分が多く興味深いため、研究を行う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A pentose bisphosphate pathway for nucleoside degradation in Archaea2015

    • 著者名/発表者名
      Aono,R., T.Sato, T.Imanaka, and H.Atomi
    • 雑誌名

      Nature Chemical Biology

      巻: 11 ページ: 355~360

    • DOI

      10.1038/nchembio.1786

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Studies on nucleoside/nucleotide metabolism in the hyperthermophilic archaeon Thermococcus kodakarensis2014

    • 著者名/発表者名
      Riku Aono, Takaaki Sato, Tadayuki Imanaka and Haruyuki Atomi
    • 学会等名
      10th International Congress on Extremophiles
    • 発表場所
      Saint Petersburg, Russia
    • 年月日
      2014-09-07 – 2014-09-11
  • [備考] 炭酸固定反応を介した新しい核酸分解代謝経路を発見 -生物的炭酸固定系のルーツ解明に期待-

    • URL

      http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2014/150331_1.html

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公開日: 2016-06-01  

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