研究課題/領域番号 |
14J05153
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村田 光麻 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 実証研究 / 基盤技術開発 |
研究実績の概要 |
(1)多光子顕微鏡を用いた、全身性強皮症の皮膚線維化の低侵襲診断技術とその定量評価系の確立 皮膚における線維の定量のために、観察深度の改善が重要であることを認識した。そのため、神経科学の分野で発展しつつある、組織の透明化の手法を導入した。具体的には、5つの方法を試行し、最終的に、1つの手法が最も優れていることを見出した。透明化により、皮膚全層の立体構造を明瞭に把握できるようになった。透明化の手法を導入すると同時に、様々な構造や細胞の可視化のために免疫染色の併用を試み、大きな皮膚サンプルを、そのまま染色する技術を獲得した。これらの方法を用いることで、強皮症に留まらず、様々な疾患に応用され得る事を認識し、乳房外パジェット病の三次元的解析へと発展した。乳房外パジェットの皮膚病変を立体的に解析することで、これまで不可能であった、病変の辺縁の詳細かつ広範な部分に亘る形態を観察できた。その結果、病変の辺縁がこれまで予想されてきたよりも整っていること、その一部では浸潤傾向を思わせる形態をとっていること、さらに、表皮内癌であるのにも関わらず、ランダムに個々の細胞が浸潤する傾向のある症例が存在することを見出した。また、申請時に投稿中であった穿孔性膠原線維症の非侵襲的診断について、論文が掲載された。 (2)ヒト皮膚組織の細胞動態ライブイメージング基盤技術の確立 ヒト皮膚における細胞動態観察のために、生体内で細胞を可視化する技術が必要であることを認識した。高いS/N比を実現するために、switch on型のプローブを用いるのが適切と考え、5-aminolevurinic acidに着目。切除直後の乳房外パジェット病の皮膚組織を用いて、腫瘍細胞が可視化できることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)多光子顕微鏡を用いた、全身性強皮症の皮膚線維化の低侵襲診断技術とその定量評価系の確立 観察系の開発に一定の成果をみたが、本来の対象疾患である全身性強皮症の低侵襲診断技術の開発のためには、膠原線維の定量系が課題として残っている。 (2)ヒト皮膚組織の細胞動態ライブイメージング基盤技術の確立 基盤技術の一つである蛍光プローブの有用性について一定の成果を得た。その中でよりs/n比の高いプローブの開発の必要性が明らかとなり、今後の課題とする。
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今後の研究の推進方策 |
(1)多光子顕微鏡を用いた、全身性強皮症の皮膚線維化の低侵襲診断技術とその定量評価系の確立 膠原線維の定量系の開発を行う予定である。同時に疾患サンプルの解析を予定している。 (2)ヒト皮膚組織の細胞動態ライブイメージング基盤技術の確立 よりs/n比の高いプローブの開発、およびヒト皮膚組織を用いた実証を予定している。
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