研究課題/領域番号 |
14J05193
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 秀明 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
キーワード | DC-DCコンバータ / 高周波トランス / 巻線配置 / 鉄損 / 銅損 |
研究実績の概要 |
平成26年度においては,まず磁気ヒステリシスまで表現可能な磁気回路モデルを用いて,無方向性ケイ素鋼板の損失算定を行った。本磁気回路モデルにおいて,ヒステリシス損は磁性材料内部の微小な磁化の挙動を考慮可能なLLG方程式を用いて表し,渦電流損は磁気回路中のインダクタンスを用いて表す。提案手法により板厚0.35mmおよび0.20mmの無方向性ケイ素鋼板の磁気特性および損失を高精度に算定可能であることを明らかにした。 次に,本研究で提案した,MW級DC-DCコンバータ用高周波トランスの材料にアモルファス金属を採用することの有用性を検証するために,高周波トランスの簡易設計法を構築し,損失および重量の算定を行った。検討の結果,従来の商用トランスで広く使われている方向性ケイ素鋼板を用いるよりも,アモルファス金属を用い,動作周波数を数kHz程度にすることで,トランスを大幅に小型・低損失化できることを明らかにした。また,DC-DCコンバータに加わる電圧は正弦波ではなく,デューティ比可変の方形波電圧である。そこで,LLG方程式と磁気回路を組み合わせた手法により,任意波形に対応可能なアモルファス金属の損失算定モデルを構築した。検討の結果,アモルファス金属にデューティ比可変方形波励磁を行った場合においても,提案モデルを用いることで,電流波形やヒステリシスループ,並びに損失を高精度に算定可能であることを明らかにした。 さらに,設計した高周波トランスについて有限要素法による磁場解析を行ったところ,近接効果により高周波でトランスの銅損が大幅に増加してしまう課題が新たに明らかになった。そこで,高周波トランスの近接効果を抑制する巻線配置に関する検討を行ったところ,1次巻線と2次巻線を1層毎交互配置することが効果的であることを,有限要素法による磁場解析および実験によって明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
磁気デバイスの高精度損失算定法が,DC-DCコンバータへ適用しようとしているアモルファス金属に非正弦波励磁を行った場合においても有用であることを明らかにしたため,おおむね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
現在までの検討においては,磁気デバイスの高精度損失算定手法の基礎的検討として,コア単体の損失を高精度に算定できることを明らかにした。今後の研究の推進方策としては,DC-DCコンバータ用トランスに本手法を適用することについて検討を行うとともに,高周波における銅損増加を考慮した設計手法について検討する予定である。
|