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2014 年度 実績報告書

細胞膜透過ペプチドの取り込み促進受容体の同定と細胞内送達の高効率化

研究課題

研究課題/領域番号 14J05215
研究機関京都大学

研究代表者

川口 祥正  京都大学, 化学研究所, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2016-03-31
キーワード細胞膜透過ペプチド / オクタアルギニン / 光架橋法
研究実績の概要

オクタアルギニン(R8)は代表的な細胞膜透過ペプチドで、小分子化合物、核酸、タンパク質などの生理活性物質の細胞内導入キャリアとして広く用いられている。R8の細胞内移行経路として、種々のエンドサイトーシスの関与が報告されている。その一方で、R8と相互作用し細胞内移行を誘起するような膜分子やその取込み促進機序に関して不明な点が多く残されている。申請者らは、光架橋法によりR8と相互作用するタンパク質としてLanCL1を同定している。しかし、これは細胞質側に存在するタンパク質であり、直接的にR8と相互作用し、強力に細胞内取り込みを誘起するような細胞表面の膜分子の同定には至っていない。そこで本研究では、従来の光架橋法の問題点である(ⅰ) アフィニティビーズに対する非特異的な吸着、および、(ⅱ) 細胞質タンパク質の混入を解決し、R8と細胞膜表面で相互作用し、R8の細胞内移行を促進する膜タンパク質の同定を目的とした。
本年度では、切断リンカーをR8とビオチンタグの間に導入した新規光反応性R8を設計・合成すること、および、光架橋後のタンパク質抽出において膜タンパク質を分離・抽出することで上記の問題解決に取り組んだ。その結果、従来の光架橋法の問題点を解決し、R8と相互作用する膜タンパク質の同定を達成した。さらに、siRNAによりノックダウンした細胞を用いて蛍光標識したR8の細胞内取込みを評価した結果、プロテオグリカンの一種であるsyndecan-4をノックダウンした細胞でR8の細胞内取込みの減少が確認された。よってsyndecan-4がR8の細胞内移行に重要な働きをしていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の1つの目的であるR8と相互作用し、細胞内移行に寄与する膜タンパク質の同定を達成しており、おおむね順調に進展していると判断できる。本年度の計画通り新規光反応性R8を設計、および合成し、それを用いて、相互作用タンパク質の検出を試みた。その際に、細胞質タンパク質の混入を防ぐために膜タンパク質を抽出する工程を新たに導入した。その結果、従来まで問題であったゲル染色による検出の際の高いバックグラウンドの軽減に成功した。さらに、それらのタンパク質について質量分析法により解析したところ、プロテオグリカンを初めいくつかの膜タンパク質が同定された。また、同定された各タンパク質のノックダウン細胞を用いてR8の細胞内移行量を評価したところ、syndecan-4がR8の細胞内移行に重要な働きをしていることを示すことができた。

今後の研究の推進方策

まず、各種エンドサイトーシス阻害剤を用いてsyndecan-4によるR8の細胞内移行経路について検討を行う。また、R8によるsyndecan-4の下流シグナル分子の活性化についても検討を行う。これにより、syndecan-4を介したR8の細胞内移行メカニズムの解明につながると考えている。また、syndecan-4のR8に対する特異性を評価するために、代表的な膜透過ペプチドであるTatペプチド、Penetratin、ドデカアルギニンにおいて、syndecan-4ノックダウン細胞における細胞内取り込みをフローサイトメトリーで検討を行う。
さらに、R8によるタンパク質送達におけるsyndecan-4の寄与について知見を得るために、Cre-loxPシステムを用いた評価系を構築する。loxPを定常発現させた細胞にCre recombinase とR8をつなげたCre-R8を導入し、その組換え効率を算出することでタンパク質送達を評価する。これを用いて、R8のタンパク質送達におけるsyndecan-4の寄与を明らかにでき、R8のタンパク質送達について新たな知見が得られると期待される。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Cellular uptake of arginine-rich cell-penetrating peptides and the contribution of membrane-associated proteoglycans2014

    • 著者名/発表者名
      Nakase I., Kawaguchi Y., Nomizu M., Futaki S.
    • 雑誌名

      Trends in Glycoscience and Glycotechnology

      巻: 27 ページ: 1-8

    • DOI

      10.4052/tigg.1420.1

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] オクタアルギニン-ユビキチンコンジュゲートを利用したR8の細胞内在化量の定量2015

    • 著者名/発表者名
      川口祥正、Cherine Bechara、 Hao-Hsin Yu、中瀬生彦、今西未来、武内敏秀、Fabienne Burlina、Sandrine Sagan、二木史朗
    • 学会等名
      日本薬学会第135年会
    • 発表場所
      兵庫医療大学
    • 年月日
      2015-03-26 – 2015-03-28
  • [学会発表] Identifying membrane proteins involved in cellular uptake of octaarginine peptide by photocrosslinking2014

    • 著者名/発表者名
      Kawaguchi Y., Kuwata K., Takeuchi T., Futaki S.
    • 学会等名
      第51回ペプチド討論会
    • 発表場所
      徳島大学
    • 年月日
      2014-10-22 – 2014-10-24

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公開日: 2016-06-01  

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