研究課題
多数のChIP-seqデータより共局在因子を特定するための新規計算アルゴリズムの開発を目的とし、研究を実施した。開発された計算アルゴリズムに対し計算精度を評価するため、国際プロジェクトENCODE (Encyclopedia of DNA Elements)のデータベースにおいて公開されている複数のChIP-seqデータを用い、タンパク質間相互作用のデータを参照し、既存の統計モデルとの比較を行った。その結果として、既存の統計手法であるrandomモデルとbootstrapモデルに対し、1.5倍ほど高精度かつ4倍ほど多く共局在が特定された。更には、新規の共局在関係、細胞特異的・共通の共同制御機構が予測された。応用として、転写因子GATA2のヒト白血病細胞K562とヒト臍帯静脈内皮細胞HUVECにおける細胞特異的な共局在因子を予測し、GATA2の細胞特異的な遺伝子発現制御への寄与を明らかにした。K562特異的なGATA2の共局在因子の中で転写因子TAL1に注目し、GATA2との共同制御機構を実験的に検証した。今後とも、ChIP-seqデータ等のゲノムワイドなエピゲノムデータは増え続けることが予想され、本アルゴリズムによる多数データの同時比較が重要となってくる。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の方針に従い計算アルゴリズムを構築することにより、既存の統計手法に比べ、共局在因子の予測精度が有意に向上することが確認され、大幅な方針の転換が必要なかった。また、共局在解析により予測された共同制御機構の結果が実験的にも実証され、計算アルゴリズムの生物学的な有用性が高いことが明らかとなった。現在、本研究成果を学術論文としてまとめており、当初の予定よりも早く研究計画が進んでいる。
本研究成果を学術論文にまとめ、国際ジャーナルへ投稿する。その他、本アルゴリズムをインターネット上で簡単に利用できるプロットフォームの実装を進める。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)
The Journal of Biological Chemistry
巻: 290(7) ページ: 4163-77
10.1074/jbc.M114.626929
Nature communications
巻: 未定 ページ: 未定