研究課題/領域番号 |
14J05329
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐々木 暢彦 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 超電導磁気浮上 / 電磁シャントダンパ / 非線形連成 / 非線形振動 / 回転体力学 / 電磁誘導 / 制振 |
研究実績の概要 |
本研究では超電導磁気浮上系の応用先の1つである電力貯蔵用フライホイールの運用において発生する振動問題の解決を目標として研究を行った。振動を抑制する方法として、振動物体にダンパ等を取り付けることが一般的に用いられるが、その場合超電導磁気浮上系の長所である非接触性が損なわれてしまう。そのため、「電磁シャントダンパ」と呼ばれるダンパに着目し、振動振幅を低減することを試みた。電磁シャントダンパを用いると、振動のエネルギーを電気エネルギーに変換し、振動を抑えることができる。しかしながら、非線形性を考慮した研究はなされていなかった。また、振動系に対しての研究しかなされておらず回転系に対しては研究されていなかった (電力貯蔵用フライホイールは回転系である)。そのため、平成26年度の研究はこの2つについて着目し研究を行った。テーマはそれぞれ、「振動系における非線形連成を利用した振動振幅の低減」と「回転系における振動振幅の低減」である。以下ではそれぞれのテーマについて概要を記した。 1、振動系における非線形連成を利用した振動振幅の低減 電磁シャントダンパの磁石の配置を工夫することにより、意図的に振動系と電気系間で非線形連成させた。線形連成させた系では振幅が大きく増大する振動数(共振点)が増える上、理論的に最適なパラメータを実現することが難しいという問題点があった。しかし、非線形連成を利用することにより、共振点を増やすことなく振動振幅の低減を行うことができ、さらに最適なパラメータの実現を容易にすることができた。 2、回転系における振動振幅の低減 従来の電磁シャントダンパをそのまま回転系に適用することは設置スペースや費用の無駄が多いため、効率的に振幅を低減できる適用法を考案した。その結果、高周波領域における振幅増大を招くことなく振幅を低減できることを理論的に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度当初に提出した計画書では「研究実績の概要」の「1、振動系における非線形連成を利用した振動振幅の低減」を調べる予定であったが、それに加えて「2、回転系における振動振幅の低減」にとりかかることができたため、概ね順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」の「2、回転系における振動振幅の低減」にて理論的に示したことを実験によって実証する予定である。まずは一般的な回転系で発生する線形振動に対する低減効果を調べ、効果を確認次第、超電導磁気浮上系にて発生する分数調波振動・高調波振動などの非線形振動に対する振動低減効果を調べる。なお、今年度は平面運動に限って研究を行ったが、次年度は自由度を増やした解析を行う予定である。 加えて、非線形連成を利用することのメリットが示されたので、これを回転体に適用する方法を開発していく。
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