研究課題/領域番号 |
14J05330
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
川島 翔 一橋大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | ヨーロッパ / 中世 / 学識法 / ローマ法 / 教会法 / カノン法 / 訴訟法学 / 裁判 |
研究実績の概要 |
本研究は、イタリアおよびアルプス以北で成立した訴訟法文献を分析することによって、中世ローマ・カノン法訴訟の形成過程を明らかにすることを目的とするものである。平成26年度は、マックス・プランク欧州法史研究所(フランクフルト)に滞在し研究を行った。具体的な研究実績としては、(1)訴訟に関する規定を収集・整理した独立の著作である、ordo iudiciorumないしordo iudiciariusと呼ばれる一群の文献史料を収集したこと、(2)上記史料のデータベース化を行いその統計的分析に着手したこと、(3)上記文献に関する先行研究における論争点を整理したこと、(4)とりわけイタリアにおける個別の著作の具体的内容についての分析を進めたこと、が挙げられる。(1)(2)に関して言えば、対象となる史料の刊本だけでなく、上記研究所に保管されている写本のマイクロフィルムを複写することができた。これにより、先行研究でしばしば問題とされている写本間の字句の異同を検証することが可能となった。また(4)に関しては、最初期の訴訟法文献の一つであるブルガールスのTractatus de iudiciisについての検討を進めたものの、残念ながら現時点ではまだ具体的成果を出せる段階には至っていない。しかしながら、上述したように、平成26年度は平成27年度以降の研究を進める上での前提となる準備を大きく進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度はドイツにおける文献収集を進め、今後の研究のための準備作業を大きく前進させることができた。他方で、個別文献の検討はあまり進んだとは言えず、現時点では明確な見通しを得るには至っていない。しかしながら、史料収集に関してはほぼ完了しており、イタリアにおける個別文献の分析にも着手することができたため、研究は当初の予定通りおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、やや立ち後れているイタリア領域における訴訟法文献の検討を行うと同時に、研究計画書の通り、アルプス以北で成立した訴訟法文献の検討を進める。扱う対象に関しては、計画書に挙げたアルプス以北の3つの文献の他にも、本研究にとって重要であると思われるTractaturus magister、Olim edebatur actio、Quod autem nullus (Summa Elnonensis)等の著作も加えることにした。というのも、最近の研究によってアルプス以北の多くの個別文献が注目されてるようになってきており、そうした動向に対応する必要が生じたからである。
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