研究課題
精神神経疾患の発症・増悪の分子メカニズムを、脳内メタボロームと炎症応答が与える影響の面から解明することを目的とし、統合失調症とアルツハイマー病を主な対象として研究を進めた。統合失調症プロジェクトについてはこれまでに引き続き、作用機序が不明である抗精神病薬の作用メカニズムを明らかにする視点で研究を進めた。超解像イメージング技術を用いることで、標的候補分子の細胞内局在に対して抗精神病薬が与える影響を評価した。マウス神経細胞の初代培養系を用いて、樹状突起のスパイン形成への影響を評価した。さらにマウスに薬剤を投与し、in vivoでの脳内におけるスパインへの影響も評価した。今年度AMED-CREST研究開発の一環として導入されたイオンサイクロトロン-フーリエ変換型質量分析機を使用し、これまで得られていた結果を更に高い精度で得ることに成功した。これらの結果をもとに論文を執筆し、現在国際科学誌へ投稿中である。さらに本論文で新たに示した質量顕微鏡法の変法については、浜松医科大学を通じて特許を出願した。また福島県立医大との共同研究ある統合失調症患者死後脳のリピドミクス解析、ならびに熊本大学との共同研究による死後脳プロテオミクス解析については、投稿した論文がともに科学誌に受理された。アルツハイマー病プロジェクトについては、p47タンパク質の機能解明を中心に進めた。In vivoでの機能評価のためCRISPR-Cas9システムを用いたノックアウトマウスの作製を進めた。受精卵へのマイクロインジェクションの実験系立ち上げは時間的に難しいため外部受託サービスを利用したが、技術的な問題から遺伝子が破壊されたマウスが得られなかった。現在開発している技術でこの問題は打開できると考えられるので、神経変性疾患の理解につながる知見として、将来的に何らかの形で発表することを目指す。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 産業財産権 (1件)
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 1-11
10.1038/srep45050.
Journal of Proteomics
巻: 158 ページ: 31-42
10.1016/j.jprot.2017.02.009.
The Journal of Biological Chemistry
巻: 291 ページ: 23854-23868
10.1074/jbc.M116.738518