研究実績の概要 |
1)大腸菌ライブラリーの構築、2)薬剤感受性試験、3)酵素の精製を実施した。 1)当研究室に所有するOXY-型ベータラクタマーゼ産生株を対象として、PCR法にてOXY-型ベータラクタマーゼの保有を確認した。さらに、OXY-型ベータラクタマーゼ産生株においてダイレクトシーケンス法によりOXY-型ベータラクタマーゼの型別を実施した。阻害剤抵抗性の原因となるアミノ酸変異の同定を目的として、部位特異的変異導入法により大腸菌ライブラリーを構築した。 2)OXY-型ベータラクタマーゼ産生株と、構築したライブラリーに対する各種抗菌薬(ベータラクタム薬, ベータラクタマーゼ阻害剤)の最小発育阻止濃度を寒天平板希釈法により測定した。阻害剤抵抗性を示した株に関しては、PCR法によるOXY-型ベータラクタマーゼを検索した。阻害剤耐性を示し、かつPCR法によって検索されなかった菌に関して、新規OXY-型ベータラクタマーゼ遺伝子の探索を目的にクローニングを実施した。 3)当研究室が所有する菌株を用い、OXY-型ベータラクタマーゼの大量発現系作製とクロマトグラフィーシステムを用いた酵素精製方法を構築した。OXY-型ベータラクタマーゼ遺伝子をタンパク質の大量発現用ベクター(pET29a)に組み込み、BL21株を用いてクローニングすることで大量発現系を構築した。タンパク発現の誘導にはイソプロピル-ベータ-チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いた。菌体の破砕には超音波破砕機を用いた。回収した上清からイオン交換クロマトグラフィーとゲルろ過クロマトグラフィーを組み合わせることで、90%以上の純度で酵素を精製した。野生型酵素とタンパク質の性質が異なる変異体酵素においては、精製過程の条件検討によって精製方法を最適化した。
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