研究課題/領域番号 |
14J05570
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
篠田 康晴 東北大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | シグマ1受容体 / 心不全 |
研究実績の概要 |
これまで当研究室は、TAC処置を施した心不全モデルマウスの左心室においてシグマ1受容体発現量が低下すること、さらにはシグマ1受容体アゴニスト投与がシグマ1受容体発現量の低下を改善するとともに、心不全病態を改善することを報告してきた。しかし、どういったメカニズムでこのようなシグマ1受容体の発現の変化が生じるかについては現在のところ全くの不明であり、今回の検討課題とした。 当研究室におけるさらなる検討において、TAC処置を施したマウスは心不全病態を呈すると同時に、気分障害の一つであるうつ様症状を呈した。またこのうつ様症状には、海馬と呼ばれる認知障害や気分障害に関連する脳領域におけるシグマ1受容体の発現低下が関与した。この理由として、1)TAC処置を施したマウスにおいて、様々な遺伝子の発現制御を行う受容体に作用し、別名ストレスホルモンとも呼ばれるコルチコステロン(CORT)の血中濃度が上昇したこと、2)通常のマウスへのCORT慢性投与がうつ様症状とともに海馬におけるシグマ1受容体発現の低下を引き起こしたこと(Fig.1)、3)TAC処置を施したマウスにCORTの受容体阻害剤mifepristoneを慢性投与することにより、シグマ1受容体の発現低下とうつ様症状の改善したこと(Fig.1)などが挙げられる。今回の検討では、海馬における検討のみしか行っていないが、心臓においても同様のメカニズムによりシグマ1受容体の発現が制御されている可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、横行大動脈結紮(Transverse Aortic Constriction; TAC)を施したマウスにおいて見られるシグマ1受容体発現量の低下に関わる調節因子の検討を行った。その結果、阻害剤を用いた薬理学的解析から、ストレスホルモンであるグルココルチコイド受容体の活性化が、シグマ1受容体発現量の低下に関与していることが明らかとなった。 この結果及び昨年報告した内容について、現在論文を投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、遺伝子改変によるシグマ1受容体遺伝子欠損マウスを用いて、心不全におけるシグマ1受容体の役割を検討する。この遺伝子欠損マウスは、当研究室を卒業し、Cincinnati Children’s Hospital Medical Centerに所属している共同研究者のBhuiyan氏により現在作製、繁殖がなされており、今後当研究室にも導入予定である。
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