研究実績の概要 |
本研究では、二重閉殻である不安定核132SnにおけるGT巨大共鳴測定を行うことで、原子核スピン応答の研究を推進する。 不安定核におけるGT巨大共鳴測定を実現するには、広い運動量アクセプタンスと高い検出効率が求められる。そこで、本研究ではSAMURAIスペクトロメーターを用いることで、すべての(p,n)反応の同定を行い、さらに大立体角低エネルギー中性子検出器群WINDSを建設・設置することで高い検出効率を実現する。 初年度は、理化学研究所仁科加速器センター(RIBF)にて、不安定核132Snビームによる(p,n)反応測定をSAMURAIスペクトロメーター並びにWINDSを用いて遂行した。 本年度は得られたデータの解析を中心に行い、実験に用いた装置の性能に関して、最終目的であるGT共鳴を観測する上で十分な性能を達成していることが確認できた。この結果は、RIKEN Accelerator Progress Report に投稿し、Highlights of the year に選出された。また、国際学会EMIS2015にて口頭発表を行い、同様の内容はプロシーディングスとして「Nuclear Instrumental and Methods B」に掲載決定となった。 物理結果に関しては、中性子測定に伴うバックグランドの削減、評価を詳細に行うことによって、GT巨大共鳴と思われるピークの観測に成功した。これらに関する結果は国際学会COMEX5, 日本物理学会にて口頭発表を行った。 今後は得られた実験結果と理論モデルとの比較を行うことで、不安定核領域における原子核スピン応答に対する知見を得る。
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