研究課題
81%の糖尿病性足潰瘍は足底に形成される胼胝(べんち)が先行することが明らかになっている。そのためまず胼胝を形成させないことが足潰瘍発症予防につながると考えられる。胼胝は歩行中にかかる圧力とせん断応力が原因で形成されると言われており、圧力は胼胝部位で高くなることが知られている。現在胼胝予防介入として、義肢装具士の経験によりインソールや靴を選択し胼胝部位の圧力を分散させるという対症療法が行われているが、多くの患者で胼胝が再形成される。この理由としてせん断応力が考慮されていないことと、更に、圧力・せん断応力が高くなる原因を取り除いていないことが考えられる。せん断応力は技術的に測定が難しく、靴によってせん断応力が異なることが示されているが、素足の状態か計測専用靴による計測に限られてきた。また、足底の特定部位に限定した計測も困難であった。対象者自身の靴を履いた状態での胼胝部位に特定した測定が出来ていないため、胼胝部位の圧力とせん断応力の実態は明らかになっていなかった。また、圧力・せん断応力が高くなる原因も明らかになっていなかった。そこでまず計測専用靴ではなく、対象者自身の靴を着用した状態で足底の特定部位にかかる圧力・せん断応力の計測方法を確立した。計測部位は、足潰瘍と胼胝の好発部位である、第1, 2, 5中足骨頭部とした。次に、胼胝部位と非胼胝部位にかかる外力の違いを検討し、せん断応力を圧力で割った値 (SPR: Shear stress Pressure Ratio) が高いことが胼胝形成に関係していることを示し、胼胝形成のカットオフ値も明らかにした。更に、胼胝形成に関わる歩き方と靴の要因が、胼胝形成部位ごとに異なることも示した。本研究で新たに明らかになった胼胝形成要因を軽減させる介入を行うことで、胼胝形成を予防することが出来、それが糖尿病性足潰瘍予防につながると考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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