研究課題/領域番号 |
14J05730
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中原 亨 九州大学, システム生命科学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | ブタクサ / 性配分 / 外来種 / 進化 / 適応度 / 風媒花 / 草丈 / 花粉 |
研究実績の概要 |
雌雄同体の植物における繁殖資源配分(性配分)は、個体の繁殖成功に大きく影響する重要な形質である。風媒花では、草丈が高いほど花粉を分散させやすく、また植物体のサイズが大きいほど花粉生産量が多いため、大型の個体ほど繁殖資源をオス機能に偏って投資すると考えられてきた。1年目は、風媒草本ブタクサにおいてこのサイズ依存的な性配分変化が実際に見られるかどうかについて、日本産3集団、アメリカ産4集団の株(N=120)を用いて検証した。その結果、草丈や栄養器官の乾重量の増加とともに繁殖投資がオス機能に偏るというサイズ依存的な性配分変化を検出することができた。
また、外来種であるブタクサは日本への侵入に伴って天敵のブタクサハムシから解放されている。そのため日本産のブタクサでは防御への投資が減少し、成長への投資が増加して遺伝的に大型化したと考えられてきた。実際に大型化が起きていれば、日本産のブタクサではサイズ依存的に性配分がオス機能に偏っていると考えられる。そこで日本産・アメリカ産のブタクサのサイズと性配分を比較し、この仮説を検証した。しかし、侵入に伴う日本産ブタクサの大型化を検出することはできず、サイズの小さい日本産のブタクサではアメリカ産のブタクサよりもサイズ増加に伴う性配分のオス機能への偏りが小さいという結果になった。これは先行研究を支持しない結果であったが、使用した集団の違いなどが影響している可能性があるため、2年目も引き続き日米間のサイズの違いと性配分の違いを確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従って圃場実験を行い、日米のブタクサの性配分を定量化することができたが、その一方で論文の執筆がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
性配分の定量化はできたものの、日米間で植物体サイズに依存した性配分の偏りが当初の予測と逆の結果になった。今後は昨年度の結果が妥当なものなのかを確認するため、昨年と同様の実験を引き続き行う予定である。 また、研究の方向性を修正し、性配分の可塑性にも注目しながら研究を行っていく予定である。
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