本年度は、昨年度の研究成果の分析、投稿論文の執筆、博士論文の執筆、および国内外における学会発表を行った。これらの研究では、土地利用変化をマクロスケールとミクロスケールの双方の視点から分析することで、海岸観光地の存立基盤の重層構造とそれらの相互作用を考察した。これらの研究成果については、博士論文に掲載されている。 本年度も、房総半島における土地利用研究として、GISを用いたマクロスケールにおける農業的土地利用変化の分析を行った。これらの分析に際しては、農林業センサスのデータと国土数値情報の自然環境のデータを用いて土地利用図を作成し、統計的な処理によって土地利用の変化傾向を分析した。この結果、1990年代以降における南房総地域の農業的土地利用変化は、花卉栽培や果樹栽培などの観光との関連が強い農業的土地利用に変化するとともに、温暖な気候や地形条件などの地域の自然環境をより反映させた農業的土地利用に変化していることが示された。さらに、昨年度に引き続き、ミクロスケールにおける沿岸地域の調査として南房総地域の沿岸集落における現地調査を行い、民宿施設の整備状況や就業構造についてデータ収集を実施した。 また、本年度は投稿論文や学位論文の執筆、および国内外の学会への参加など、これまで取り組んできた調査や研究の成果を国内外に精力的に公表した。具体的には、昨年度および本年度の調査に基づいた2本の論文と1本の原稿を執筆し、それぞれが受理または発行された。さらに、2度の国際学会における発表と、2度の国内学会における発表など、国内外のさまざまな学会において研究発表を行った。
|