研究課題
より組織深部に存在するがんの検出を念頭に、昨年度までに開発・発表を行った非対称ローダミン骨格に基づいたプローブ群に比べ、さらに長波長で機能するプローブ群の開発を行った。具体的には、昨年度までのローダミン誘導体に関する知見をシリルローダミンにも適用することで、より長波長の蛍光を発し、かつプロテアーゼプローブの母核となり得る蛍光団の開発を試みた。まず、HMRGのシリルローダミンアナログであるHMSiR600を合成・評価した。この分子は想定通り長波長化したが、ローダミン誘導体より閉環構造を取りやすいことがわかった。そこで、pKcyclを適切な値に調節するため、非対称の分子内スピロ環化シリルローダミン群を合成・評価したところ、最も長波長の吸収・蛍光を示した誘導体が最適なpKcycl を示した。本骨格にペプチドを結合することにより、HMRG骨格に基づいた蛍光プローブ群よりも150 nm 以上長波長化し近赤外蛍光を発する、新たなGGT活性検出蛍光プローブを開発し、がん特異的な蛍光検出が可能であることを実証した。また、HMRGベースのプローブとの併用で、異なるプロテアーゼ活性を同時に多色イメージングできることを示した。この成果は特許出願済であり、投稿論文準備中である。昨年度までに開発した論理的プロテアーゼプローブ群開発法に基づき、蛍光では原理的に観察が難しい深部組織を観察し得る手法として注目を浴びている、光音響イメージング用プロテアーゼプローブの開発も行った。過去の知見から、開発した非対称ローダミン誘導体の中からHMDiMeRを選択した。本骨格にペプチドを結合することによりGGTプローブを合成し、細胞イメージング、皮下腫瘍モデルマウスを用いたin vivoイメージングでの検討から、がん特異的な光音響波検出が可能であることを実証した。この成果は共著者として論文発表を行った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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