本研究では、A群レンサ球菌をモデルとして用い、膜輸送制御に関わるタンパク質群である低分子量Gタンパク質 Rab GTPaseおよび、その負の調節因子として働くTBC/RabGAPに着目することで、選択的オートファジーの制御機構を明らかにすることを目的とした。今回、Rab35とそのRabGAPであるTBC1D10Aを選択的オートファジーの新規制御因子として同定した。Rab35は、A群レンサ球菌感染細胞だけでなく、ミトコンドリアの分解に関わるマイトファジー、細胞内で異常に蓄積したタンパク質の凝集体の除去に関与するアグリファジー、非選択的オートファジーである栄養飢餓誘導時のオートファジー等の制御にもにおいてオートファジーのアダプタータンパク質であるNDP52を制御していることを明らかにした。 マイトファジーにおけるNDP52のミトコンドリアへのリクルートには、TBK1キナーゼが重要であること、またTBK1はNDP52をリン酸化することが報告されている。実際、TBK1の阻害剤を処理、もしくはTBK1をノックアウトしたところ、Rab35の菌へのリクルートに影響を与えず、NDP52のリクルートを阻害した。この結果から、ゼノファジーにおいてもTBK1はNDP52の局在化に関与することが明らかとなった。さらにRab35を介したNDP52のリクルートへの関与を検証した結果、TBK1ノックアウト細胞では、Rab35とNDP52の結合が阻害された。すなわち、TBK1はRab35とNDP52の結合を促進することでNDP52のリクルートを制御することが示唆された。
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