研究課題/領域番号 |
14J05882
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
橋本 晃生 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
キーワード | 防御物質 / テルペノイド / 群集 / 間接効果 |
研究実績の概要 |
カンタリジンは、昆虫の防衛物質の一種として知られており、ツチハンミョウ科とカミキリモドキ科(いずれもコウチュウ目)のみが生産する。一方、節足動物の一部のグループは、この物質あるいはその生産者に誘引される。本州では、その代表的なグループとして、アカハネムシ科、アリモドキ科(以上コウチュウ目)、ヌカカ科(ハエ目)、トゲアカザトウムシ科(クモ綱ザトウムシ目)などが知られる。今年度は、主に1. カンタリジンに誘引される節足動物群集の島嶼間変異、2. カンタリジンに誘引される節足動物の誘引機構、について下記のとおり調査を行った。 1. カンタリジンに誘引される節足動物群集について、群集構造の地域性を明らかにするために伊豆半島、伊豆諸島の各島において、春期および夏期に、カンタリジンを誘引剤として用いたベイトトラップを用いて、節足動物のサンプリングに取り組んだ。その結果、これまで行ってきた調査と合わせて、本土(東京近郊)、伊豆半島、伊豆諸島北部、伊豆諸島南部および小笠原諸島におけるカンタリジンに誘引される節足動物群集の島嶼間変異が明らかになった。この結果に関しては、第74回日本昆虫学会大会において発表を行った。また同内容については、英文論文として投稿準備中である。 2. 群集の構成員におけるカンタリジンへの誘引機構については、この物質に対する誘引性に関する報告のなかったザトウムシ類に注目して調査を行った。ザトウムシ類では野外において集合性を示す種が知られており、その集合性はカンタリジンへの誘引性と関連している可能性がある。現在、この物質に誘引される種について、室内実験によって集合性を検証している段階である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1については当初の計画よりもデータが早く出揃った。一方、研究2については、扱った節足動物の種数が少なかった。以上をあわせて考え、おおむね順調とした。
|
今後の研究の推進方策 |
研究1については、結果が出ているので、国際誌に同内容を投稿する。 研究2については、今後、より多くの分類群について検討する必要がある。
|