現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者はH26年度の研究計画に従い本課題に取組み、以下の3つの成果を得た。 1.MPSの未開拓な特性を明白にするため、V-MPS3 (内径約3 nm) に加え、内径約2 nm及び4 nmのMPSの内表面のシラノール基にオキソバナジウムO=V(OSiPh3)3を共有結合させたV-MPS2とV-MPS4をそれぞれ調製した。V-MPS2, V-MPS3, V-MPS4を用いて光学活性アリルアルコールのラセミ化経時変化を測定した。その結果、MPSの細孔径が大きくなるほど基質アルコールの細孔内への進入が容易であることが分かった。更に、V-MPS内部は高極性反応場を形成しており、極性の高い化合物の方が細孔内に進入しやすいことも明らかとなった。 2.動的光学分割においても細孔径と化合物の大きさが反応速度や副反応に密接に関係することが分かった。また、基質アルコールの分子サイズに応じてV-MPS2, V-MPS3, V-MPS4を使い分けることにより、動的光学分割の収率を向上できることが明らかになった。 3.V-MPSはアルコールと化学選択的に反応し、カチオン中間体を経由してラセミ化が進行する。これを応用し、V-MPSを用いてプレニルアルコールからプレニルカチオンを生成し、求核剤と反応させることにより水酸基直接活性化プレニル化反応を開発した。申請者は予備実験で、インドールとプレニルアルコールをV-MPS存在下に反応させると、3-プレニルインドールが生じることを見出していた。そこで、本プレニル化反応を多様な芳香族化合物で検討したところ、ジメチルアニリンを用いた場合においてもプレニル化が進行することを見出した。これはアニリン類の直接的プレニル化の初めての例である。 これらは何れも、メソポーラスシリカの特性を活用する新規反応の開発研究に極めて重要な知見である。
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