研究課題/領域番号 |
14J05957
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
鈴木 理滋 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 膜タンパク質 / ユビキチン / タンパク質品質管理 / シグナル配列 / SRP / プロテアソーム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、埋め込みに失敗した不良膜タンパク質の分解メカニズムの解明である。この目的を達成するため、本研究者はこれまで不良膜タンパク質モデルをデザインし、このモデル基質の認識・分解に関わる因子としてUBQLN4を同定した。しかしながら、UBQLN4が不良膜タンパク質の分解にどのように関与するかは明らかにされていない。そこでまずUBQLN4が不良膜タンパク質モデルのユビキチン化に関与するか検討した。その結果、UBQLN4ノックダウン(KD)条件下で不良膜タンパク質モデルのユビキチン化量が増加した。このことから、UBQLN4は不良膜タンパク質のユビキチン化には関与せず、ユビキチン化された後の過程に関与することが考えられた。 次に本研究者はUBQLN4がモデル基質だけでなく、細胞内で生じる内在性不良膜タンパク質の分解に関与するか検討した。そこで内在性不良膜タンパク質を誘導するため、膜タンパク質の埋め込みに関わる因子SRP54のKD系の確立を目指した。膜タンパク質が正常に小胞体膜に埋め込まれると、膜タンパク質は糖鎖修飾を受けることが報告されている。事実、SRP54 KD条件下で、一回膜貫通型タンパク質の糖鎖修飾量が減少することを確認した。本研究者はこの実験系を用いてUBQLN4と膜タンパク質の相互作用を検討した。その結果、コントロールKD条件下に比べ、SRP54 KD条件下でUBQLN4と糖鎖修飾されていない膜タンパク質の相互作用が増加することを見出した。このことから、UBQLN4はモデル基質だけでなく、内在性不良膜タンパク質にも関与する可能性が始めて示唆された。今後、SRP54 KD条件下でUBQLN4と相互作用するポリユビキチン化タンパク質量の変化や、SRP54とUBQLN4を同時にKDした時の細胞死、凝集体形成の有無などを調べていく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
UBQLN4は不良膜タンパク質がユビキチン化された後の過程で関与することを見出した。また、UBQLN4はモデル基質だけでなく内在性不良膜タンパク質にも関与する可能性を見出した。現在、これら研究成果に関する論文を投稿準備中である。したがって、研究は順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
不良膜タンパク質の分解過程には様々な因子が関与することが考えれる。今後はこれら因子を同定するため、不良膜タンパク質モデルやUBQLN4と共沈降するタンパク質の質量分析を行い、不良膜タンパク質分解機構の解明を目指す。また、CRISPR/TALEN法を用いて、不良膜タンパク質と相互作用できないUBQLN4変異体ノックイン細胞を構築し、不良膜タンパク質の結合に重要なモチーフの機能解析を行っていく予定である。
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