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2015 年度 実績報告書

認知症の先制医療に資するアミロイド識別型分子イメージングプローブの開発

研究課題

研究課題/領域番号 14J05961
研究機関京都大学

研究代表者

吉村 優志  京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワードアルツハイマー病 / レビー小体型認知症 / 2型糖尿病 / アミリン / イメージング
研究実績の概要

アルツハイマー病(AD)脳内においてβアミロイドタンパク質(Aβ)および過剰リン酸化タウタンパク質(Tau)が蓄積し、レビー小体型認知症(DLB)脳内においてαシヌクレインタンパク質(α-syn)が蓄積することが報告されており、これらのイメージングはADおよびDLBの早期診断に貢献しうると考えられることから、それぞれのタンパク質に特異的に結合するイメージングプローブの開発を実施している。さらに、2型糖尿病(T2DM)においてもアミリンを主成分とする膵島アミロイドの蓄積が生じることが知られており、アミリンの生体イメージングはT2DMの早期診断に貢献すると期待できる。現在までにAβを標的にしたピリジルベンゾフラン(PBF)誘導体であるI-125標識IPBFがアミリンへの高い結合親和性を示し、T2DM患者膵臓組織切片中の膵島アミロイドへの結合性を示すことを報告しており、現在の研究がアミリンイメージングプローブの開発にも応用可能であることを確認した。今年度は、より臨床汎用性の高いプローブの開発を目指し、核医学診断において最も利用されているTc-99mを標識核種として選択し、2種類のTc-99m標識PBFを合成・評価した。このうちTc-99m標識PBF-1はアミリンへの比較的高い結合親和性を示し、T2DM患者膵臓組織切片中の膵島アミロイドへの結合性も認められた。さらに、アミリンをマウス膵臓内に移植することで作製した膵島アミロイドモデルマウスを用いたex vivoオートラジオグラフィーにおいて、生体内に投与した場合も膵島アミロイドに集積することを確認した。しかし、正常マウスを用いた体内動態評価において、膵臓への移行量が低値を示したこと、および膵臓の近傍に位置する肝臓への高い集積が認められたことから、体内動態の改善が必要であると考えられたため、今後更なる構造最適化を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度の研究から、Aβ・Tau・α-synを標的にしたイメージングプローブの開発がアミリンイメージングプローブの開発にも展開可能であることが判明したことを受け、今年度は臨床汎用性の高いアミリンイメージングプローブの開発を目指し、研究を展開した。標識核種をTc-99mとして新たに創成した化合物はアミリンへの良好な結合性を示した。今後体内動態の改善が必要であると考えられるものの、アミリンイメージングプローブとしての基礎的性質を有する化合物の開発に成功した。また、生体内での膵島アミロイドへの結合性の評価を目的として、マウス膵臓内にアミリンを移植することで膵島アミロイドモデルマウスを作製したが、これは今までにない全く新しい試みである。このモデルマウスを用いることで、プローブの生体内における性能の評価も可能になったため、アミリンイメージングプローブ開発研究における一連の評価系の構築に成功した。以上の点から、本研究はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

本年度の研究で開発に成功したTc-99m標識PBFの知見を基盤に更なる構造最適化を実施し、良好な結合親和性および体内動態を示すイメージングプローブの創成を目指す。
本年度はアミリンイメージングプローブの開発研究が著しく進捗したが、Tauおよびα-synを標的にしたイメージングプローブの開発においては目立った成果を得るには至らなかった。今後は、上記のアミリンイメージングプローブの開発研究と並行して、昨年度から合成を行ってきたキノキサリン誘導体、キノリン誘導体、ナフタレン誘導体のAβ・Tau・α-synそれぞれに対する結合親和性評価を行う予定である。さらに、これらの結果をもとに計算化学を用いた分子設計を行い、それぞれのアミロイド選択的なイメージングプローブの創成を目指す。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Structure-Activity Relationship Study of Heterocyclic Phenylethenyl and Pyridinylethenyl Derivatives as Tau-Imaging Agents That Selectively Detect Neurofibrillary Tangles in Alzheimer’s Disease Brains.2015

    • 著者名/発表者名
      Kenji Matsumura, Masahiro Ono, Ayane Kitada, Hiroyuki Watanabe, Masashi Yoshimura, Simpei Iikuni, Hiroyuki Kimura, Yoko Okamoto, Masafumi Ihara, Hideo Saji
    • 雑誌名

      Journal of Medicinal Chemistry

      巻: 58 ページ: 7241-7257

    • DOI

      10.1021/acs.jmedchem.5b00440

    • 査読あり
  • [学会発表] 糖尿病膵臓内のアミリンを標的とした125I-, 18F-フェノキシメチルピリジン誘導体の合成と評価2015

    • 著者名/発表者名
      吉村優志、小野正博、渡邊裕之、木村寛之、佐治英郎
    • 学会等名
      第55回日本核医学会学術総会
    • 発表場所
      ハイアットリージェンシー東京(東京都・新宿区)
    • 年月日
      2015-11-05 – 2015-11-07
  • [学会発表] Development of 99mTc labeled pyridyl benzofuran derivatives for the imaging of islet amyloids in the pancreas.2015

    • 著者名/発表者名
      Masashi Yoshimura, Masahiro Ono, Hiroyuki Watanabe, Hiroyuki Kimura, Hideo Saji
    • 学会等名
      Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging 2015 Annual Meeting
    • 発表場所
      Baltimore (USA)
    • 年月日
      2015-06-06 – 2015-06-10
    • 国際学会

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公開日: 2016-12-27  

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