研究課題/領域番号 |
14J05970
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
長谷川 雄基 愛媛大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | コンクリート / モルタル / 廃タイヤ / 凍害 / 空気量 / 農業水利施設 / 性能照査型設計法 / 凍結融解 |
研究実績の概要 |
本研究は,廃タイヤを混和材として利用することにより,凍結融解に対して高い抵抗性を有するコンクリートを開発することを目的としている。平成26年度の実験より得られた成果を以下に述べる。 廃タイヤ混入コンクリート・モルタルのフレッシュ性状の評価として,空気量,スランプ,フロー値の測定を行った。実験の結果,コンクリートの空気量は,廃タイヤの置換率に伴い減少することが分かった。一方,廃タイヤの置換率が20%までであれば,モルタルの空気量は置換率の違いに関わらず同程度であることが分かった。また,廃タイヤの粒径が小さいものほど,空気量は大きくなる傾向が確認できた。 廃タイヤ混入コンクリート・モルタルの硬化後の基礎的特性の評価として,圧縮および曲げ強度の測定とモルタルの乾燥収縮ひずみの測定を行った。結果として,廃タイヤの置換率の増加に伴いコンクリートとモルタルの圧縮および曲げ強度はいずれも低下した。また,同様にモルタルの乾燥収縮ひずみも廃タイヤの置換率の増加に伴い増加した。しかしながら,廃タイヤの置換率が20%程度までであれば,適材適所の考え方に基づき,廃タイヤを混和材として利用できる可能性が考えられた。 モルタル供試体を使用して凍結融解試験を実施した結果,廃タイヤ混入モルタルの超音波伝播速度は無混入の供試体よりも試験期間をとおして安定していることが確認できた。また,廃タイヤの粒径の小さいものを使用した供試体の方がより超音波伝播速度は安定する傾向にあった。以上のことから,廃タイヤのモルタルへの混入は凍結融解抵抗性を向上することが示唆された。とくに,粒径の小さい廃タイヤほど,モルタルの凍結融解抵抗性の向上に寄与することが考えられた。 得られた成果は,いずれも,廃タイヤの混和材としての適用性を検討する上で,基礎的かつ重要な項目である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は,廃タイヤの性質や廃タイヤ混入供試体の特性を評価するための基礎実験が主な内容であった。全体として,当初の計画通りに研究を進捗させることができたといえる。とくに,廃タイヤが有する凍結融解抵抗性の向上効果を実験的に検証することができた点が大きな進展であった。本年度に得られた成果は,いずれも次年度の発展的な実験内容の基礎になるものである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,平成26年度の実験結果より得られた廃タイヤの凍結融解抵抗性の向上効果について,詳細に分析する予定である。具体的には,廃タイヤの最適置換率および最適粒径の特定と廃タイヤを混入したコンクリートおよびモルタル供試体内部の廃タイヤの分布状況の定量的な評価を行う予定である。 加えて,廃タイヤを混入したコンクリート供試体の水密性および透水性を実験的に検証することにより,吸水性のない材料である廃タイヤを混和材として使用した場合の,供試体への透水抑制効果を明らかにする予定である。 以上のすべての実験を並行して行い,廃タイヤの混和材としての適用性および凍結融解抵抗性の向上効果を明らかにする。
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