研究課題
本研究は感情と身体が相互にどのように関わり合っているかを明らかにすることが目的である。特に平成27年度は主に視覚意識との関係について検討を行った。(1)自発的運動行為に与える感情の影響と意識の関係感情が自発的な身体動作に与える影響を検討した。実験の結果,快感情の場合は,不快画像の時に比べて,上方向への身体動作を誘導することが明らかになった。さらに,連続フラッシュ抑制(CFS)により,画像が不可視な状態ではこのような影響は見られないことを示した。これらの結果は,感情による上下空間の感覚運動表象の活性化には,感情情報への意識的なアクセスが必要なことを示唆している。(2)身体動作による感情判断への影響上下の身体動作が感情情報への意識的なアクセスに影響を与えるかについて検討を行った。実験では,参加者は腕を上げた状態(上動作条件),腕を下げた状態(下動作条件), 腕を動かさない状態(動作なし条件)で感情を喚起する画像を観察した。なお,画像はCFSにより見えない状態であった。参加者の課題は画像が見えたら報告することであった。その結果,画像の検出において動作の影響は見られなかった。しかしながら,画像が快か不快であったかを判断する課題では,上動作条件では,快感情画像に比べて,不快感情画像が呈示された場合の方が判断までに時間がかかることが明らかになった。これらの結果は身体動作が感情情報に対する意識的な判断に影響を与えていることを示唆する。これらに関連する成果は専門誌ならびに国内外の学会にて発表された。具体的には,4本の査読付き論文,1件の国際学会,さらに4件の国内学会・シンポジウムにて発表を行った。また,1件の国内学会発表について発表賞を受賞した。これらの業績および本研究をまとめた学位論文が認められ,平成28年3月25日に九州大学より博士 (心理学) の学位が与えられた。
2: おおむね順調に進展している
上記の通り,順調に学術誌に論文が掲載され,国内外の学会で発表を行っている。
計画書に記載した感情馴化との関係を検討した実験を行う。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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doi:10.1016/j.actpsy.2015.11.003
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