単球は骨髄中の造血系幹細胞(HCS)にその起源があり、前駆細胞の連続的な分化を介して供給されている。近年、マウスにおいてLy6chi単球とLy6clo単球を生み出す共通単球前駆細胞(cMoP)が同定された。マウスcMoPはDCと単球を供給する前駆細胞である単球-DC前駆細胞(MDP)から生み出されることが証明されている。一方、ヒトにおいてミエロイド系細胞の前駆細胞としては共通ミエロイド前駆細胞(CMP)、赤芽球系前駆細胞(MEP)、そして顆粒球-単球前駆細胞(GMP)などがIL-3受容体(CD123)、Flt3(CD135)、CD45RAなどの表面マーカーを用いて同定されてきた。そして近年、ヒトMDPが同定され、この発見によって単球への分化能をもつヒトcMoPの存在が示唆された。 ヒトcMoPを同定するために、我々は単球-マクロファージに発現するCD64とCLEC12Aに着目し、この二つのマーカーを用いて古典的顆粒球-単球前駆細胞(conventional granulocyte-monocyte progenitors; cGMP)を四つの亜集団に分類した。そしてこの亜集団中の、CLEC12AhiCD64hi分画にヒトcMoPを発見した。重要なことに、ヒトcMoPとMDPはGMP中に確かに存在しており、これはGMPが真のGMPと他の前駆細胞によって構成されていることを示唆していた。そして、これらのことにより、我々はCLEC12AhiCD64int分画に単球と顆粒球のみを産生する真のGMP(revised GMP; rGMP)を発見するに至った。以上、ヒトcMoPとrGMPの発見はヒトミエロイド系細胞の分化系譜に新たな視点を与えるものである。
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