研究課題
本研究は、加齢性難聴感受性C57BL/6J系統と加齢性難聴抵抗性MSM/Ms系統間のコンソミック系統の解析によって同定したマウス加齢性難聴遺伝子座ahl3の実態を解明し、同定した遺伝子のマウス変異体を樹立することを目的とした。本年度はその候補として同定したLrrc30のMSM/Msマウス由来のDNA断片をC57BL/6J系統に導入したトランスジェニック(Tg)マウスとLrrc30ノックアウト(KO)マウスの表現型解析およびLRRC30と相互作用する蛋白質の探索を実施した。1. Lrrc30の加齢性難聴における感受性 (抵抗性) 効果の検証Lrrc30の加齢性難聴感受性 (抵抗性) 効果を検証するため、Tgマウスの経時的な聴力閾値を調査した結果、前年度報告した通りLrrc30の発現量が回復したTgマウスの加齢性難聴の重篤度はC57BL/6Jと比較して軽度化したが、その効果は極めて弱いものと考えられた。また、前年度樹立したLrrc30 KOマウスの経時的な聴力測定および蝸牛有毛細胞感覚毛の形態観察を実施したが、現時点で野生型との間に有意な聴力差および形態異常は認められず、本研究期間内にLrrc30の加齢性難聴への効果を実証するには至らなかった。2. LRRC30と相互作用する蛋白質の同定前年度相互作用が示唆されたCDH23とLRRC30のより詳細な発現・局在をSTED (Stimulated emission depletion) レーザー顕微鏡を用いた免疫染色により調査した結果、LRRC30は成熟後の蝸牛有毛細胞において感覚毛膜に沿って点在的に発現し、その一部はCDH23との共局在が観察された。また、CDH23と相互作用し感覚毛間をつなぐリンクに発現するPCDH15のSTEDレーザー顕微鏡による発現・局在観察を行った結果、その発現パターンはLRRC30と類似していた。これらの結果から、LRRC30は感覚毛間をつなぐリンクにも局在し、それらの蛋白質と相互作用する可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Hum. Mol. Genet.
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10.1093/hmg/ddw078
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