研究課題/領域番号 |
14J06123
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
掛橋 竜祐 広島大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | パプアヒメアマガエル亜科 / 系統分類 / 系統地理 / 種多様性 / 国際情報交換 / パプアニューギニア |
研究実績の概要 |
今年度は、パプアヒメアマガエル亜科の分類学的問題を解決するため、遺伝子解析を行った。まず最初に、多くの未記載種が含まれていると期待されるHylophorbus属およびパプアヒメアマガエル亜科で最も多くの種を含むOreophryne属の2属に焦点を当て、共同研究者であるAllison 博士より組織サンプルを受け取った。サンプル数はHylophorbus属が27個体、Oreophryne属が21個体の計48個体となった。受け取ったサンプルからDNAを抽出し、DNAバーコーディングに広く用いられている16SrRNAとcox1遺伝子のそれぞれの領域をPCRを用いて増幅・塩基配列の決定を行った。これらの配列にDDBJにすでに登録されている同属の塩基配列データを加え、NJ法を用いて系統樹を構築した。その結果、Oreophryne属においてはこれまでO. geislerorumおよびO. brachypusとされていたサンプルが複数のクレードを含んでいることが示され(クレード数はそれぞれ3つと2つ)、それぞれのクレードが別種である可能性が示唆された。さらに未同定のサンプルの中からも3種の新種候補が見つかった。また、Hylophorbus属では少なくとも7種の新種候補が含まれていることが明らかとなった。現在これらのサンプルについて共同研究者と情報交換を行っており、今後形態などの新種記載に必要なデータを調べる。 本研究の目的の一つはパプアヒメアマガエル亜科のニューギニア島への分散ルートの解明である。そのために必須であるO. monticolaがインドネシアのバリ島とロンボク島に分布している。これを採集するため、インドネシアの研究者と連絡を取っており、平成27年4月下旬に採集を試みた。発見には至らなかったものの、現地ガイドより生息地に関する有力な情報を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パプアニューギニアにおける共同研究者の都合により、予定されていた現地でのサンプリングが行えなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年に引き続きサンプルの収集・DNA情報の解析を行う。昨年は新種が多く含まれると期待される2属(Hylophorbus属およびOreophryne属)に焦点を当てて研究を行ったが、今年度はさらに範囲を広げてサンプルを収集する予定である。また、昨年度行った解析において、新種候補が10種程度検出されたため、共同研究者と情報交換を行い、近縁種との形態比較などを行う。その結果新種と判明すれば記載論文の準備を行う。さらに、パプアヒメアマガエル亜科の各属からサンプルを収集し、分子系統解析を行う。これにより、いまだ明らかとなっていない亜科内の属レベルの系統関係の解明を目指す。 今年度4月から行った現地調査により、バリ島のサンプルについて採集できるめどがついたため、時期を見て再び現地に行き、サンプリングを行う。このサンプルを解析することで、本研究の目的の1つであるパプアヒメアマガエル亜科のニューギニア島への分散ルートが解明されると期待される。
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