研究課題/領域番号 |
14J06157
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長島 宏行 東北大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | IQGAP1 / OX40 / TRAF5 / TRAF2 / IL-6 / Th17 |
研究実績の概要 |
IQ motif containing GTPase Activating Protein 1(IQGAP1)は足場タンパク質として細胞骨格の配向を制御し、細胞遊走や細胞間接着に関与する分子である。我々は、IQGAP1がT細胞において、共刺激分子 OX40 にリガンド刺激依存的に結合すること、IQGAP1がOX40シグナルを負に制御することでT細胞活性化を抑制することを見出している。本研究ではIQGAP1 による OX40 シグナル制御機構を明らかにする。本年度は、IQGAP1がOX40に結合する分子メカニズムについて解析した。IQGAP1 の欠失変異体 (N末端:1-735aa, C末端: 744-1657aa) を作成し、OX40との結合能を評価したところ、IQGAP1はC末端 744-1657aa領域を介してOX40と結合した。しかし一方で、TRAF2ノックダウン細胞ではOX40とIQGAP1の相互作用が著しく減少した。そこで、IQGAP1がTRAF2に直接結合するかどうか検討したところ、IQGAP1のC末端領域がTRAF2のRING fingerドメインに結合することが判明した。以上の結果から、IQGAP1はTRAF2を介してOX40に結合すると考えられる。 また、OX40のシグナル伝達に関わるTNF-receptor associated factors(TRAFs)分子を解析する過程で、TRAF5がIL-6シグナルを制御し、Th17細胞の生成を抑制することを発見している。そこで、他のTRAF分子が同様にIL-6シグナルを制御するか検討したところ、TRAF2がIL-6シグナルを抑制し、Th17分化を制限することを発見した。重要なことに、T細胞においてTRAF2とTRAF5の両方を欠失させると、TRAF5を単独で欠失させた場合に比べ、Th17分化が有意に亢進した。以上の結果から、TRAF2とTRAF5がT細胞において協調的にIL-6シグナルを制御する機構を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IQGAP1がOX40に結合する分子メカニズムを明らかにすることが出来た。また、OX40シグナル制御分子であるTRAF2/5がIL-6シグナルを制御し、Th17分化を制御するという新しいシグナル制御機構を明らかにすることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
IQGAP1がOX40に結合することで、そのシグナルをどのように制御するかについて明らかにする。さらに、IQGAP1欠損マウスを用いて、IQGAP1によるOX40シグナル制御がどのような生理的意義を持つかについて明らかにする。
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