研究実績の概要 |
IQ motif containing GTPase Activating Protein 1(IQGAP1)は足場タンパク質として細胞骨格の配向を制御し、細胞遊走や細胞間接着に関与する分子である。我々は、IQGAP1がT細胞において、共刺激分子OX40にリガンド刺激依存的に会合すること、IQGAP1がOX40シグナルを負に制御することでT細胞活性化を抑制することを見出し、その分子機構を解析してきた。まず、IQGAP1がOX40に結合する分子メカニズムを明らかにする目的でIQGAP1の欠失変異体(N末端:1-735aa, C末端:744-1657aa)を作成し、OX40との結合能を評価したところ、IQGAP1はC末端744-1657aa領域を介してOX40と結合した。また、TRAF2ノックダウン細胞ではOX40とIQGAP1の相互作用が著しく減少した。そこで、IQGAP1がTRAF2に直接結合するかどうか検討したところ、IQGAP1のC末端領域がTRAF2のRING fingerドメインに結合することが判明した。以上の結果から、IQGAP1はTRAF2を介してOX40に結合すると考えられる。また、IQGAP1のどの領域がOX40シグナルの抑制に必須かを調べるために、上記の2つの欠失変異体IQGAP1をCD4陽性T細胞に遺伝子導入し、OX40シグナルへの影響を評価したところ、IQGAP1のC末端領域(744 - 1657aa)がOX40シグナル抑制に必須であることが判明した。よって、C末端領域を介したIQGAP1 - TRAF2 - OX40 相互作用がOX40シグナル抑制に重要であると考えられる。現在、IQGAP1によるOX40シグナル抑制の分子メカニズムについてより詳細に解析中である。
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