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2014 年度 実績報告書

新しいキネシンスーパーファミリータンパク質KIF21Bの分子細胞生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 14J06161
研究機関東京大学

研究代表者

森川 桃  東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2016-03-31
キーワードキネシン分子モーター / KIF21ファミリー
研究実績の概要

新しいキネシン分子モーターKIF21ファミリーは、これまでにⅠ型外眼筋線維症 (CFEOMⅠ) や多発性硬化症などの神経難病に関与することが報告されているが、その分子メカニズムはほとんど不明であり、個体レベルおよび細胞レベルにおける機能欠失モデルの作出と解析が必須である。
本研究ではこのKIF21ファミリーに焦点をあて、分子遺伝学的手法を用いて作成したノックアウトマウスを、その表現型を分子レベルから個体レベルを通して解析するが、この手法は高度に探索的であり、ノックアウトマウスの表現型については予想がつかないことが一般的である。しかし申請者ならびに他のグループのこれまでの結果から、結合タンパク質としてアクチン細胞骨格の制御因子が同定されており、KIF21ファミリーはアクチン細胞骨格と微小管系細胞骨格を連携する制御を司る分子である可能性が高い。
そこで本研究では、KIF21ファミリーの神経細胞の形態形成および機能維持における役割を、主にアクチン細胞骨格の制御に光をあて、細胞生物学ならびに分子遺伝学的手法から明らかにすることを目的とする。現在までに、ノックアウトマウスの行動解析、ノックアウトマウスの組織や細胞における異常の解析、新規KIF21ファミリー結合タンパク質の探索とその解析を行い、KIF21ファミリーノックアウトマウスの細胞・組織・個体レベルを通した統合的・集学的な表現型解析により、この新規分子モーターがかかわる未知の分子機序の解明を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究はKIF21ファミリーのノックアウトマウスを細胞・組織・個体レベルを通して統合的・集学的に表現型解析するものであるが、現在までに以下の実験を行った。
①ノックアウトマウスの行動解析:KIF21ファミリーノックアウトマウスの運動能力や空間記憶・学習能力について、Rota-rod実験、Open-field実験、Elevated-plus-maze実験、恐怖記憶実験等の一連の行動実験を行い、このノックアウトマウスにおいて記憶学習の能力に異常があることを新規に発見した。
②ノックアウトマウスの組織や細胞における異常の解析:Scale法(Hama et al., Nat Neuroscience 14:1481, 2011)やコンフォーカルレーザー顕微鏡を用いた、免疫細胞化学的な神経細胞の高精細形態計測を行った。また海馬一次培養系を樹立し、神経細胞の形態ならびに挙動について分子細胞生物学的手法を駆使して解析し、関連タンパク質と分子モーターとの共局在や結合解離についても観察を行った。
③新規KIF21ファミリー結合タンパク質の探索とその解析:KIF21ファミリーのノックアウト細胞における結合タンパク質の機能・局在変化を分子細胞生物学的手法を用いて解析した。またそのノックダウンや強制発現法等による発現量の変化が、KIF21ファミリータンパク質欠損神経細胞の表現型を変化させるかどうかを確認した。
以上のように、KIF21ファミリーノックアウトマウスの行動解析と組織・細胞レベルでの実験を通して、この新規分子モーターがかかわる未知の分子機序を解明する目的に向かって統合的・集学的な表現型解析を行うことができた。

今後の研究の推進方策

ノックアウトマウス海馬急性スライスを作成し、電気生理実験による海馬の回路網の解析を行なう。さらに、引き続きKIF21ファミリーのノックアウト細胞における結合タンパク質の機能・局在変化を詳細に観察していく。
また、これまでの成果と上記の電気生理実験、新規KIF21ファミリー結合タンパク質の探索とその解析を通して、KIF21ファミリーの個体での機能と、細胞・分子レベルでの機能を関連させ、学術論文を作成し投稿する。

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公開日: 2016-06-01  

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