現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究はKIF21ファミリーのノックアウトマウスを細胞・組織・個体レベルを通して統合的・集学的に表現型解析するものであるが、現在までに以下の実験を行った。 ①ノックアウトマウスの行動解析:KIF21ファミリーノックアウトマウスの運動能力や空間記憶・学習能力について、Rota-rod実験、Open-field実験、Elevated-plus-maze実験、恐怖記憶実験等の一連の行動実験を行い、このノックアウトマウスにおいて記憶学習の能力に異常があることを新規に発見した。 ②ノックアウトマウスの組織や細胞における異常の解析:Scale法(Hama et al., Nat Neuroscience 14:1481, 2011)やコンフォーカルレーザー顕微鏡を用いた、免疫細胞化学的な神経細胞の高精細形態計測を行った。また海馬一次培養系を樹立し、神経細胞の形態ならびに挙動について分子細胞生物学的手法を駆使して解析し、関連タンパク質と分子モーターとの共局在や結合解離についても観察を行った。 ③新規KIF21ファミリー結合タンパク質の探索とその解析:KIF21ファミリーのノックアウト細胞における結合タンパク質の機能・局在変化を分子細胞生物学的手法を用いて解析した。またそのノックダウンや強制発現法等による発現量の変化が、KIF21ファミリータンパク質欠損神経細胞の表現型を変化させるかどうかを確認した。 以上のように、KIF21ファミリーノックアウトマウスの行動解析と組織・細胞レベルでの実験を通して、この新規分子モーターがかかわる未知の分子機序を解明する目的に向かって統合的・集学的な表現型解析を行うことができた。
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