国際組織法秩序と国際法秩序の関係の問題に関する博士論文として大枠が完成し、同論文をモノグラフとして出版したいと考えている。 国際組織法主体性における矛盾に対して、「国際法秩序」は一つではなく、様々な国際法秩序があるという発想を検討した。まず、国家間の関係に関する国際法秩序と異なって、国際組織と国家の総合的関係を含む第二の国際法秩序の発想を検討した。結果として、そのような国際法秩序を認める事が出来ることを明らかにした。特に、国家間の関係の規則と一般原則に反する、国際組織と国家の関係に関する第二の国際法秩序の一般的な慣習法の規則を確認した。以上の検討から、国際組織に国際法主体性で承認することの直接的な効果が、国際法秩序を断片するという結論が導かれた。 他方、15.000語の論文として、Asian Journal of International Lawに提出した。この論文の目的は、国際組織法秩序の中における権力(パワー)の分配を分析する上で、国家の中の権力の分配を分析するための分析枠組み(憲法理論)が有用であることを提言することである。この分析方法を用いるにあたって、分析対象の違い、国際組織の中か国家の中であるかによって異なってくる問題の違いを考慮に入れている。
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