研究課題
本研究は、2種の機能性経口素材(乳酸菌組換え体とオリゴDNAカプセル)を用い、炎症性腸疾患に対する新たな予防・軽減戦略を開発することを目的とする。これまで、炎症抑制作用が期待される哺乳類由来タンパク質(ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)もしくはインターロイキン-6特異的抗体(IL6scFv))を産生・分泌する乳酸菌組換え体の構築に成功した。また、HO-1産生乳酸菌(NZ-HO)の経口投与は、IBDモデルマウスにおける急性大腸炎症状を軽減することを明らかにした。本年度は、①NZ-HOの投与量の検討、②オリゴDNAカプセルの経口投与試験、③IL6scFvの免疫活性試験を実施し、以下の成果を得た。①IBDモデルマウスを用いてNZ-HOの投与量を検討し、急性大腸炎症状の軽減に有効な最適投与量を決定した。本成果は、NZ-HOをIBD軽減素材として開発する上で重要な基礎知見になることが考えられる。②IBDモデルマウスを用いて、抗炎症効果が期待されるオリゴDNA(iSG3)を包摂したオリゴDNAカプセルの単独もしくはNZ-HOとの併用投与試験を実施した。予想に反して、同カプセルの経口投与による急性大腸炎症状の軽減効果は認められなかった。オリゴDNAはその配列に依存して異なる免疫機能性を発揮することから、今後は、包摂するオリゴDNAの種類の検討が望まれる。③乳酸菌組換え体が産生するIL6scFvは抗体としての免疫活性を有することを明らかにした。本成果は、抗サイトカイン抗体断片を産生する乳酸菌組換え体の構築に成功した世界初の成果となった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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