研究課題
強酸性土壌に生育する植物におけるアルミニウム有益性の解明強酸性土壌に自生するメラストーマは、Alによって生育が促進されることが知られているが、その機構は明らかになっていない。昨年度までの実験で、メラストーマに温度ストレスをかけた際にAlによる生育促進効果が認められたが、これは温度ストレスにより引き起こされる酸化ストレスがAlによって減少するという現象ではないことが示唆された。また低温処理により、メラストーマの根はストレスを受けネクロシスを起こしたが、低温条件下でも+Al 処理下で栽培したメラストーマの根にはその症状が現れなかった。つまり、低温処理により引き起こされるストレスがAl によって緩和されたと考えられる。一方、元素分析の結果、Al処理によって根のFe含有率が有意に低下することが明らかとなった。メラストーマにおけるFe毒性についてはこれまでの研究で報告されており、本研究にいてもAlによるストレスの軽減の減少にFe毒性が関与している可能性が考えられた。そこで高濃度のFe条件で同栽培を行った。その結果、標準のFe濃度の栽培時と同様に、低温条件下でAlによるストレス軽減の効果が認められた。これらの結果から、低温条件下におけるAlによる生育促進の効果は、根におけるFe毒性が低温条件下で顕著になり、この症状がAlにより緩和されるという現象であると考えられる。また本研究ではAlによる酸化ストレスの軽減は認められていないため、メラストーマにおけるFe毒性は酸化ストレスではないことが示唆された。低温条件下では、細胞膜の流動性の低下、透過性の増大が引き起こされることが知られている。このことから、FeとAlの細胞膜との相互作用が、Alによるストレスの緩和に関連していることが考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physiologia Plantarum
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