研究課題
本研究では新規抗認知症薬である ST101 投与による統合失調症モデルラットの認知機能障害改善効果とそのメカニズムの検討及び SAK3 と ST101 による T 型電位依存性カルシウムチャネル (VDCC) 活性化作用の比較検討を行ってきた。統合失調症モデルラットには、新生仔期腹側海馬 (NVH) 損傷ラットを用いた。思春期以降とされる生後 56 日目から ST101 (0.01, 0.1 and 0.5 mg/kg) を 1 日 1 回 2 週間経口投与した。新奇物体認識試験により認知機能を評価したところ、 NVH 損傷ラットの認知機能障害が ST101 投与量依存的に改善した。ST101 による認知機能障害改善作用を検討するために、免疫ブロット法を用い、前頭前皮質内側部及び海馬 CA1 領域における細胞内情報伝達機構の解析を行った。その結果、ST101 は NVH 損傷ラットの前頭前皮質内側部及び海馬 CA1 領域において PKCα/GluN1/CaMKII シグナルを亢進し、認知機能障害を改善することが示された。一方、whole-cell パッチクランプ法を用い、SAK3 及び ST101 による T 型 VDCC 活性化作用を比較検討した。 Whole-cell パッチクランプ法は、東北大学大学院歯学研究科歯科薬理学分野の若森実博士の下で確立した。興味深いことに、T 型 VDCC Cav3.1 を過剰発現した Neuro2A 細胞において、SAK3 は ST101 よりも T 型カルシウムチャネル電流を促進した。また、両薬物を処置後速やかに電流が促進し、持続することから、T 型 VDCC 活性化作用は直接的であることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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