研究実績の概要 |
1. 腸炎モデルマウスにおける樹状細胞サブセットの局在検討 デキストラン硫酸ナトリウム (DSS)誘導性腸炎モデルマウスの腸管粘膜固有層 (LPL)では、conventional DC (cDC)が顕著に増加しており、さらに、腸炎によって誘発された低酸素領域に局在していることも明らかにした。 2. FLT3L誘導性樹状細胞によるTh17誘導能の検討とプロバイオティクス乳酸菌の効果 Fms-related tyrosine kinase 3 ligand (FLT3L)誘導性cDCを通常酸素下 (20.9 %)あるいは低酸素下 (1 %)で培養したところ、低酸素培養によって共刺激分子であるCD86の発現や、炎症性サイトカインであるIL-6, TNF-αの産生量が有意に亢進した。従って、低酸素下におけるcDCは炎症の惹起や慢性化に寄与することが示唆された。このとき、このとき、各乳酸菌・ビフィズス菌の基準株であるLactobacillus reuteri JCM 1112T, Lactobacillus rhamnosus JCM1136T, Bifidobacterium bifidum JCM1255T, Bifidobacterium breve JCM 1192T, Bifidobacterium longum subsp. infantis JCM1222TおよびBifidobacterium longum subsp. longum JCM1217T をそれぞれcDCへ作用させ、IL-6, TNF-αおよび抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生量を評価した。その結果、低酸素培養によって増加したIL-6の産生量を全ての菌株が抑制した。さらに、B. breve, B. infantisおよびB. longumの3菌株においては、TNF-αの産生量も抑制した。一方、抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生量においては、全ての菌株でIL-10産生が亢進しており、その効果は特にBifidobacterium属で顕著であった。現在、低酸素培養したcDCと脾細胞由来ナイーブT細胞を共培養し、cDCによるTh17細胞への分化促進能および、Bifidobacterium属を中心としたプロバイオティクス菌によるTh17抑制効果に着目して検討している。
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