研究課題
近年のがん治療においては予後延長だけでなく生活の質の維持向上が重視されている。そこで抗がん薬治療中の生活の質の向上を目指し副作用予防のための介入を開発・検討した。1. 抗がん薬の副作用である手足の末梢神経障害の予防研究本研究では、抗がん薬点滴中に、特殊な保冷剤でできたフローズングローブ・ソックスを装着して手足を冷却することで、手足の局所血流量および手足への抗がん薬の到達量を減らし、抗がん薬による局所的な副作用を予防することを試み、その効果を検討した。本研究では抗がん薬治療(パクリタキセル)を 12 週間以上受ける乳癌患者 40 名を対象に、点滴時に利き手側の手足を冷却し、何も行わない非利き手側と比較した。その結果、末梢神経障害の自覚症状や日常生活の不便さといった主観的な症状だけでなく、触覚や温度の感覚、手先の器用さといった客観的な検査結果についても、予防効果を示すことが明らかになった。また今回丁寧なモニタリングにより冷却に伴う試験脱落者はおらず、安全に冷却療法を施行できることを証明した。本研究の結果は多くの媒体で報道されアクセスランキング上位を記録した。しかしながら、本研究で用いた冷却機器が 400 万個の使用のある中 2 例の凍傷発症により回収されるという異例なリコールとなり、現在多くの患者が冷却療法の恩恵を受けられずにいる。今後冷却療法の普及実装に向けてさらなる研究および提供環境の整備が必要であると考える。2. Web 利活用によるセルフマネジメントの実態調査横断的にがんサバイバーの Web 活用の実態を調査した。がんサバイバーは公的な情報よりも同じ境遇にある個人の生活状況に関する SNS やブログに満足する傾向がみられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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JNCI: Journal of the National Cancer Institute
巻: 110 ページ: 141~148
https://doi.org/10.1093/jnci/djx178