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2015 年度 実績報告書

現代フランスにおける〈記憶の営み〉と反人種差別--新たな抵抗のかたち

研究課題

研究課題/領域番号 14J06775
研究機関一橋大学

研究代表者

田邊 佳美  一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2016-03-31
キーワードポストコロニアル移民 / フランス / 反人種差別 / 記憶 / アソシエーション / 社会運動 / インターセクショナリティ / 当事者性
研究実績の概要

本研究は、2000年代初頭以降のフランスに登場した、旧植民地出身移民とその子孫による個人的かつ集合的な〈記憶の営み〉(文化・芸術的実践を通した過去の「発見」・名付け・構築・主張から成るプロセス)を、戦後の反人種差別運動の系譜に位置付け分析した。パリ市近郊とトゥールーズ市に拠点を置く2つのアソシエーションでの参与観察と聞き取り調査で得たデータと収集資料から、活動の軌跡を辿ることで、両団体とメンバーたちが〈記憶の営み〉に至る歴史的プロセスを考察した。
本研究の意義は、これまで「承認の政治」の枠組みで解釈されがちだった、旧植民地出身移民による「記憶(や歴史)」についての主張が、その枠組みに収まらないことを明らかにした点にある。すなわち「記憶」は、新たな集合行為の担い手の登場や仏社会における人種主義の形態の変化という社会・政治的文脈に対応する形で、①(住居・教育・雇用の平等などをめぐる)社会的闘争としての反人種差別運動の新たな資源(主体性・集合的アイデンティティの構築および運動への動員の資源)と捉えられる一方で、②歴史(学)に根ざした知的アリーナにおける反人種差別という、ポストコロニアルで歴史的闘争の側面も持ち、③これらが、普遍主義と統合というフランス社会の支配的言説への対抗言説として登場した「当事者性」の自覚と主張に密接に関わっていることが明らかになった。
実際、①に関しては試験的な形ながら少数の経験的研究が示してきた。また②に関しては「記憶の差別」や「エピステーメの暴力」への抵抗の観点から理論的検討がなされてきた。これらを踏まえたうえでの本研究の独自性は、②を経験的に分析し、①と②が「当事者性」の概念のもとに接合される可能性を提起した点、さらにジェンダー(インターセクショナリティ)視点を取りれることで、女性のアクターに特有の「記憶」との関わりを明らかにした点にある。

現在までの達成度 (段落)

27年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

27年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 「ムスリム女性」とイスラーム・フェミニスト--フランスにおける普遍主義と当事者性2016

    • 著者名/発表者名
      田邊佳美
    • 雑誌名

      女たちの21世紀

      巻: 85 ページ: 11-14

  • [学会発表] Postcolonial Insights on Feminist Consciousness2016

    • 著者名/発表者名
      Anka, Naima, Tal Dor & Yoshimi Tanabe
    • 学会等名
      International workshop, Appropriating Feminism ? Feminist Entanglement with Neoliberalism, Racism, International Politics and Military Inverventions
    • 発表場所
      Frankfurt (Germany)
    • 年月日
      2016-02-25 – 2016-02-25
    • 国際学会
  • [学会発表] Femmes des quartiers populaires entre pratiques et designations2015

    • 著者名/発表者名
      Tanabe, Yoshimi,
    • 学会等名
      7e Congres international des recherches feministes Francophone dans la francophonie
    • 発表場所
      Montreal (Canada)
    • 年月日
      2015-08-27 – 2015-08-27
    • 国際学会
  • [図書] 30 ans de la Marche pour l'egalite et contre le racisme2016

    • 著者名/発表者名
      Samir Hadj Belgacem, Abdellali Hajjat, Fouad Nasri (ed), Yoshimi Tanabe (other authors unknown)
    • 総ページ数
      in press
    • 出版者
      L'arbre bleu
  • [図書] Invisible Cultures : Historical and Archaeological Perspectives2015

    • 著者名/発表者名
      Francesco Carrer, Viola Gheller (ed), Elvira Migliario, Davide Astori, Maria Elena Galaverna, Nicola Reggiani, Yoshimi Tanabe, Anna Everett Beek, Irene Som, Martina Hjertman, Per Cornell, Lara Tonizzo Feligioni, Attilio Stella, Antonio Malpica Cuello
    • 総ページ数
      315(16-47)
    • 出版者
      Cambridge Scholars Publishing
  • [図書] 排外主義を問いなおす--フランスにおける排除・差別・参加2015

    • 著者名/発表者名
      中野 裕二、エレン・ルバイ、浪岡新太郎、園山大祐、森千香子 編著、フロランス・ジャニ・カトリス、田中拓道、大嶋えり子、田邊佳美、村上一基、マルク・アンベール、ミシェル・ルノー、アンヌ・ケレック著
    • 総ページ数
      272(123-125)
    • 出版者
      勁草書房

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公開日: 2016-12-27  

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