昨年度と同じく、外交文書の調査と文学テクストの読解を並行して行った 平成28年9月5日から9月27日まで、パリ郊外のフランス外務省史料館でクローデルに関連する資料の収集を行った。同史料館には、世界各地に存在するフランス外務省の出先機関から本国外務省に送付された資料群が集められている。今回閲覧した資料は、(1)経済・通商関係資料、(2)極東ロシア・シベリア関連資料、(3)アジア関係資料・総則の三つである。その結果、先行研究等では言及されていないクローデルの文書が数多く発見された。具体的には、クローデル来日後初めての大規模な日仏交流行事であった1922年のジョゼフ・ジョッフル元帥来日に関する報告書類や、フランス製品の対日輸出に関する資料、日本のシベリア出兵をめぐる調査報告書等がを発見できた。 他方、パリ第4大学附属図書館において、滞日期クローデルの詩作品を網羅的に扱った重要な先行研究であるPaola D'Angeloの博士論文Lyrique japonaise de Paul Claudelを閲覧することができた。同研究は、日本国内では閲覧が不可能である。同研究を出発点として、滞日期クローデルの詩作品の分析に着手した。 研究成果の公表としては、前年度中に投稿した論文が査読を経て刊行されたほか、新たに論文1本を投稿し採録が決定され、2017年6月ごろ刊行予定である。 これらに加え、国内で口頭発表2本、国外で1本を行った。これらについては、当日出席者から得られた指摘をもとに、後日論文化する予定である。
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