研究課題
本年度は乳児を対象に、3つの影知覚を検討する実験を完了・継続中である。1. 乳児が物体の形状と投射影の形状の不一致を検出できるか検討するため、乳児の注視行動を指標とした行動実験を行い、本研究の成果は査読付き学術雑誌iPerception誌に掲載が決定した。2つの実験の結果から、7-8ヶ月児は物体と投射影の形状の不一致を検出できることを初めて報告した。この研究の結果は、7-8ヶ月児が投射影を知覚できることを示唆するものであった。本研究の成果は国際学会であるICIS 2014にて、ポスター発表を行った。更に本研究の成果に関して昨年行った第32回日本基礎心理学会におけるポスター発表に対し、本年度優秀発表賞を受賞した。2. shading, cast shadowと呼ばれる2種の影を、3次元形状を知覚するための手がかりとして用いることができるか検討する実験を計画し、データを取得完了した。実験では生後5-8ヶ月の乳児が複数のshading(またはcast shadow)からターゲットである1つのcast shadow(またはshading)を検出できるか、親近化法を用い検討した。更にコントロール実験として、影(shading, cast shadow)が背景より明るく、影として知覚し難い図形を作成し、同様の課題を行った。2つの実験の結果、7-8ヶ月児のみ、影を知覚できる場合にのみターゲットを検出したが、5-6か月児は検出しなかった。この成果は、7-8ヶ月児がcast shadowを手がかりに3次元形状が知覚できることを示唆するものである。本研究は、国際学会であるAPCV2014にてポスター発表を行い、Student Travel Awardを受賞した。3. 乳児は影を周囲より暗い領域と知覚するか検討する実験を計画し、現在データ取得中である。本研究の成果の一部は国内学会においてポスター発表を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画より早く、研究成果を査読付き英文学術誌に掲載することができた。計画1年目の実験は終了し、すでに次の論文を執筆中である。また新たな当初の計画になかった新たな実験についても計画・データ取得を開始している点から、当初の計画以上の進展がみられたといえる。
計画2年目の実験の遂行し、すでに得られた研究成果(現在国際誌へ投稿するため英語論文を執筆中)の公刊といった活動に重点を置いて研究を行うことを予定している。具体的には、現在実施している乳児は影を周囲より暗い領域と知覚するか検討する実験のコントロール実験を完了し、乳児が成人同様に、影内では物体表面は暗くなると知覚することを明らかにする。更に、得られた研究成果については、国内外の学会に於いて発表を行うことを予定している。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
i-Perception
巻: 6(2) ページ: 91-99
10.1068/i0681
Japanese Psychological Research
巻: 56(4) ページ: 331-339
10.1111/jpr.12057
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~ymasa/labo/sato.html