研究課題/領域番号 |
14J06891
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
中澤 啓一 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 消化管 / 内胚葉 / 細胞移動 / 形態形成運動 / Kaede / ホヤ |
研究実績の概要 |
細胞が適切な場所に移動することは、器官の形成に重要である。ホヤの孵化直後幼生の尾部には、数十個の前後一列に並んだ細胞群があり、“内胚葉索”と呼ばれている。私はこれまで、胴部内胚葉の一部と内胚葉索でKaedeを発現するカタユウレイボヤの系統(zip-kaede)を用いて、内胚葉索の細胞が胴部に移動・集合すること、zip-Kaede発現細胞が後部消化管に寄与することを明らかにした。しかし、一列に並んでいた細胞がどのような過程で集まるのか、管がどのような形態変化によってできるのか、は未だに分かっていない。 本年度は、胴部内胚葉や移動して胴部に入った内胚葉索細胞がどのような形態変化を経て、後部消化管を形成するか調べることを目標にした。しかし、Kaedeは細胞質全体で蛍光を発するので、細胞数や個々の細胞の形態、胚内の配置を調べるには細胞膜を染色する必要があった。 これまでホヤの細胞膜を可視化するには、固定胚をファロイジン染色する方法が用いられてきた。一方、Kaedeタンパク質はライブで見ることが多く、固定後にもKaede蛍光が検出できるかは不明で、UV照射の時間や固定の条件などを検討する必要が生じた。本年度の研究で、光転換したKaedeタンパク質の蛍光と、ファロイジンの蛍光を両方とも観察できる条件を得ることができた。 これまでは孵化からの時間で内胚葉の動態を記載してきたが、孵化の時点ですでに発生段階の個体差が大きいという問題があった。今後は、胴部に入ったzip-kaede発現細胞の数で動態を記載する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Kaedeとファロイジンの蛍光を両方検出できる条件が見つかり、zip-kaede発現細胞の数、形態、配置を調べるための方法が定まったという点では研究が進展したが、当初予定していた内胚葉細胞の動態を記載するには至らなかったため、「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度確立した方法で、zip-kaede発現細胞を指標として、細胞の集合課程、管形成課程を記載する。
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