研究課題
筋萎縮側索硬化症(ALS)・前頭側頭型変性症(FTLD)患者の脳内に沈着したTDP-43凝集体に結合する化合物を見出すことをことができれば、それらをポジトロン放出核種で標識し、TDP-43病変を非侵襲的に計測することができる。TDP-43病変の非侵襲的な計測法は、アルツハイマー病で活用されているアミロイドイメージングのように、ALS・FTDの早期診断や薬効評価系に有効活用することができると考えられる。今年度は、ALSおよびFTLD患者の脊髄/脳切片からTDP-43病変のスクリーニングを行い、サブタイプ分けしたTDP-43病変を含む標本に対して化合物ライブラリーの化合物のTDP-43病変の結合性を検討した。TDP-43病変を含む標本に対して、アミロイド構造に結合する染色剤であるチオフラビン-Sで陽性になるかを検討した。その結果、チオフラビン-S染色ではTDP-43病変は描出されなかった。さらに、アミロイドPETトレーサーであるPiB、タウトレーサーであるTHK化合物のオートラジオグラフィーを実施した。その結果、両トレーサーはTDP-43病変の沈着領域への集積は認めらなかった。今後、TDP-43に結合する化合物のスクリーニングを実施していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、TDP-43病変の探索により、TDP-43病変のサブタイプ分けおよびそれらを含む標本を得ることができ、それらを用いた結合評価系を構築することができた。さらに、その評価系を用いてアミロイドトレーサー、タウトレーサーなどいくつかの化合物に関して、TDP-43病変への結合性を評価することができた点から、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
今年度に構築したTDP-43病変への結合評価系を駆使して、研究室のライブラリーにある化合物を評価していく予定である。TDP-43病変の結合性を有している化合物を同定することができれば、併せて化合物の脳内移行性を検討する。さらに、その化合物を元に化合物の構造最適化を進める予定である。
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Current Neurology and Neuroscience Reports
巻: 14 ページ: 500
doi: 10.1007/s11910-014-0500-6