研究課題
平成27年度は、in silico同定パイプラインの改善を目指して以下のことを行った。1. これまで複数のスプライスバリアントがあった場合、最長のものをその代表として用いる方法を採用していた。この方法はPositive Selectionの検出において偽陽性を増加させることが報告されている。そこで、配列長を指標としてスプライスバリアントを選択するソフトウェアを新たにパイプラインに組み込んだ。2. これまでは、各オルソログ遺伝子のマルチプルアライメントにMUSCLEソフトウェアを用いていた。しかし、MUSCLEはPositive Selectionの検出においては偽陽性を多く与えるソフトウェアであることが判明した。そこで平成27年度はPRANKソフトウェアをパイプラインに組み込むことで改善を図った。3. 本研究の解析に於ける最終的な目的は、強い純化選択の下にあるオルソログ遺伝子を同定することであった。平成26年度に用いたPAMLは、元来Positive Selectionを検出することを目的とするものである。そのアリゴリズムは全ての枝、サイトでωが1以下であるとする帰無仮説と、その中の一部の枝、サイトでωが1以上であるとする対立仮説について尤度を算出し、尤度比検定によりモデル選択を行うものである。尤度比検定は手続き上、帰無仮説と対立仮説が入れ子の構造になっていることを要請している。よってPAMLによる尤度比検定では、Positive Selectionを検出することには問題がないのだが、純化選択が働いている遺伝子を直接検出することは出来なかった。よって尤度比検定によるモデル選択の代替手法として、赤池情報量基準(AIC)によりモデル選択を行うこととした。AICは尤度比検定と異なり、帰無仮説と対立仮説が入れ子構造になっている必要がなく、従って手続き上、純化選択を直接検出することが可能となる。現在AICによるモデル選択をパイプラインに組み込む作業を行っている。
3: やや遅れている
研究計画ではコア遺伝子のin silico同定はすでに終了しているはずだが、未だ完全なパイプラインの構築に至っていないため。
平成28年度はまず、AICによるモデル選択をパイプラインに組み込むことを目指す。その後、再度コア遺伝子の検出を行い、結果が生物学的に妥当かどうかを判断する。
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Science Advances
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