研究課題
本研究では星形成過程のうち、分子雲コアからファーストコア・星周円盤に至るスケールをngr3mhdコードで、また円盤近傍の小スケールの構造をAthena++コードによりシミュレーションし、これらを組み合わせて分子雲から原始星に至る星形成過程全体の一貫したモデルを構築することを目的としている。ngr3mhdコードを用いたシミュレーションについては、双極性拡散(ambipolar diffusion)を取り入れたシミュレーションを行い、この効果により磁場が拡散して磁場による角運動量輸送が強く抑制され、これまで想定されていたよりも早い段階で星周円盤の形成が可能であることを示した。形成された円盤は星形成過程の初期では半径数AU程度と小さいが、その後のガス降着により成長すると考えられる。近年の電波干渉計による星周円盤の観測では、若い原始星周囲の星周円盤は小さいことが分かっており、この結果は観測とも整合的である。原始星周辺の小スケール構造を扱うシミュレーションには新規にAthena++コードの開発を進めている。本コードはこれまでPrinceton大学にて開発されてきたAthenaコードを完全に再設計するものであり、これまでよりも柔軟な格子配置、特に任意の領域に高解像度の格子を動的に配置する解適合細分化格子(Adaptive Mesh Refinement, AMR)を可能にすること、及び従来の磁気流体に加え自己重力や輻射輸送などの多くの物理過程を実装することを目的としている。またコードの性能にも重点を置いており、現代的なスーパーコンピューターで高性能が実現できるよう最適化を行っている。多様な座標系に適用可能な一般的なMHDソルバーの開発は順調に終了し、現在テストを進めている。またAMRについては現在設計を進めている段階である。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題は平成26年度が最終年度のため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
The Astrophysical Journal
巻: 786 ページ: 98
10.1088/0004-637X/786/2/98
The Astrophysical Journal Letters
巻: 789 ページ: L4
10.1088/2041-8205/789/1/L4
巻: 793 ページ: 1
10.1088/0004-637X/793/1/1