本年度は、博士論文でまとめた自治体の災害対応におけるレジリエンスの考え方の一般性をより高めるため、2つの事例調査を実施した。1つ目は、街づくりにおけるレジリエンス=広い意味で「持続可能な」街づくり事例、2つ目はロックフェラー財団の実施する「100 Resilient Cities」の取り組みである。 街づくりにおけるレジリエンスは、神奈川県藤沢市を舞台として、パナソニックが「100年続く街」を掲げ昨年オープンさせた「藤沢サスティナブル・スマートタウン」事例である。この取り組みを通じて、パナソニックが実現させたい持続可能な街づくりと、それに情報通信技術がどのように生かされているのか、取材を行い、現在分析中である。 ロックフェラー財団の取り組みは、レジリエントな都市を世界中から公募しそのうち100都市をResilient Cityとして選定、各都市の政策実現のための各種サポートを提供するものである。昨年100都市のうちまず32都市の選定があり、日本からは唯一富山市が選ばれた。富山市の目指すレジリエントな都市像を取材し、その中でも特に情報技術をどのように活用しようとしているのか、本研究で得られた知見を基に情報交換を行った。今後共同研究に向けた話し合いをしているところである。 上記事例研究のほか、5月にCrisis Management 分野の国際学会にて、「災害時、自治体が住民とコミュニケーションをする際活用すべき情報システム」をテーマとした論文を発表した。当論文について論文誌への投稿がすすめられている。さらに、博士論文のダイジェスト版を海外ジャーナルに投稿する準備を行っている。 研究員は引き続きノルウェーの大学にてレジリエントと情報システムに関する研究を継続する予定であり、上記事例分析、論文誌への投稿を行っていく。
|