研究課題/領域番号 |
14J07067
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河井 公大朗 東京大学, 数理科学研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
キーワード | アフィンラグランジュ部分多様体 / アフィンルジャンドル部分多様体 / G2構造 / Spin(7)構造 |
研究実績の概要 |
1.アフィンルジャンドル部分多様体の導入 ラグランジュ部分多様体の一般化として、アフィンラグランジュ(totally real) 部分多様体がある。アフィンラグランジュ部分多様体にはJ-volume という自然な汎関数が存在する。ラグランジュ部分多様体に対しては、これは通常の体積汎関数に等しい。J-volume を極小にするような部分多様体の存在問題は、定スカラー曲率ケーラー(cscK) 計量の存在問題等と同様の枠組で理解されることが知られている。更にある条件下では、特殊ラグランジュ部分多様体の研究にも重要であると考えられている。 アフィンラグランジュ部分多様体の奇数次元の類似として、佐々木多様体内にアフィンルジャンドル部分多様体の概念を導入した。これはルジャンドル部分多様体の一般化にもなっている。まず、アフィンルジャンドル部分多様体のφ-volume という自然な汎関数を定義した。これはJ-volume の奇数次元の類似である。この第二変分公式を計算し、ambient space があるη-Einstein 佐々木多様体の場合には、安定性が導かれることを示した。また同じ仮定のもと、φ-volume 汎関数はアフィンルジャンドル部分多様体全体の成す空間の中で凸であることがわかった。
2.Frolicher-Nijenhuis bracket を用いたG2, Spin(7) 構造の特徴づけ 複素幾何におけるNijenhuis テンソルは、概複素構造の可積分性を確かめる際に有用である。H.V.Le 氏、L.Schwachhofer 氏らとの議論により、Nijenhuis bracket の一般化であるFrolicher-Nijenhuis bracket を用いてG2, Spin(7) 構造の特徴づけを行った。特に、これらの構造に対する新しい可積分性の判定条件を発見した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存の漸近的に錐な coassociative 部分多様体等の変形については理解を深めたが、それを他の部分多様体に対して応用するには至らなかった。一方、新たな部分多様体の概念を導入し、既存の結果を一般化することができた。H.V.Le 氏、L.Schwachhofer 氏との議論により、G2, Spin(7)構造に対しても、新しい視点で研究が行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでは、部分多様体は境界がないものを扱ってきたが、境界つきの場合も考える。そして境界つき部分多様体の変形空間、および ambient space の構造を摂動したときの変形空間の様子をみる。また、非コンパクトな漸近的に錐な部分多様体についても、同様のことを調べる。更に、昨年度に引き続きG2, Spin(7)構造自身、その幾何構造の変形等について研究を深める。
|