研究課題/領域番号 |
14J07082
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
劉 水歌 早稲田大学, 政治経済学学術院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | Dominated Strategies / Inessential Players / Iterated Elimination / Order-Independence / Epsilon Approximation / Bounded Cognitive |
研究実績の概要 |
今年度は、被支配戦略と非本質プレイヤーの逐次排除を中心に研究し、さらに、その延長線上にある社会ゲームとそのepsilon-approximationに関して、研究を始めた。 (1)被支配戦略と非本質プレイヤーの逐次排除(IEDI))について、それを客観者の立場から、現実を抽象・捨象する過程として考察しました。IEDIで、初期ゲームの本質な部分(例えばナッシュ均衡)は失ってないことと、最終の結果は排除の順番に依存しないことが分かった。さらに、視点を逆にして、IEDIに基づいて特徴づけを行って、最終ゲームへ収束する初期状況の範囲を推定することができる。これを指導教授の金子守先生との共著論文『Iterated Elimination of Dominated Strategies and Inessential Players』に完成し、2014年日本経済学会春季大会(ポスター)、SING10, 14th SAETと2014 RCGEB Winter Workshop(口頭)で発表し、Operations Research and Decisions 25: 35-56 (2015) 年第1号に掲載した。 (2)社会ゲームとその epsilon-approximationに関しての研究は(1)の延長線上にある。概念としての「非本質プレイヤー」は外部者の立場からの定式化したもので、内部プレイヤーの立場から、定式化したのが「epsilon-approximation」という概念です。 Epsilon-approximationによる研究方法は、各プレイヤーにとって、自分に対して顕著な影響力を持つ一部のプレイヤーと一部の代表的戦略だけをもって、社会ゲームに接近するやり方です。社会ゲームに比べてみると、epsilon-approximationにより得られたゲームはより単純になって、かつ二つの構造(プレイヤーにおける影響力構造と代表的戦略構造)を持っていて、元々のゲームの分析に手掛かりを提供する。この続きを研究しようと計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. IEDIに基づいて特徴づけを行いまいして、それによって、最終ゲームへ収束する初期状況の範囲を推定することができます。特にそこでは、被支配戦略の排除とともに、非本質的プレイヤーの排除も考えました。非本質的プレイヤーの排除に通じて、ゲームの中の人数は少なくなり、必要とする認識の深さも浅くなってきた。その研究は「被支配戦略の逐次排除過程における相互認識の深さ」に対して、示唆を与えています。 2. Epsilon-approximationによる研究方法を考案しました。それによって、内部者の個人的小さな世界と大きいな社会全体の間の関係について、研究の手掛りを与えました。それに基づいて、個人的世界における限定的認識能力を持つ内部者(プレイヤー)の認識形成の帰納的プロセスの研究に発展させることができます。
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今後の研究の推進方策 |
1. 今まで得たIEDIの特徴づけの結果と、認識論理学とどういうふうに繋がるのかを考えるべきです。特に、今非本質プレイヤーの排除も同時に考えられていますので、「被支配戦略の逐次排除過程における相互認識の深さ」について認識論理学の角度からもらったいくつか初歩な結果は、この方向にどういうふうに深化させることができるのか。それについて考えるべきです。 2. 同様に、非本質プレイヤーの排除も同時に考えるとき、ゲームの中の人数は減っていくとともに、必要な比較回数も、単に被支配戦略を排除する場合より少なくなる。そういう状況を考えて、「被支配戦略の逐次排除過程の長さと選好比較回数」の研究を進めたいと考えています。 3. 「被支配戦略と非本質プレイヤーの逐次排除」の研究での外部者視点と、「Epsilon-approximation」の研究での内部者視点と合わせて、限定的認識能力しか持たない意思決定者の世界と、その全体のゲームの間に、どういう関係があるのかという問題についても探究したいと思います。
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